パーキンソン病は黒質のドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症し,運動緩慢(動作が鈍くなる),振戦(手足が震える),筋強剛(筋肉がこわばりスムーズに体を動かせない)を中心とした運動症状が前景となる神経変性疾患です。
また,運動症状のみならず,多彩な自律神経症状,うつ症状,睡眠障害に伴うさまざまな症状,認知症などの非運動症状も高頻度に合併します。


発症原因は不明ですが,遺伝因子ならびに環境因子の関与が重要であることが知られています。
日本での有病率は100~180人/10万人とされています。加齢も発症に寄与しているため,超高齢社会に突入しさらに患者数が増えることが予想されています。

現在,パーキンソン病の進行を抑制する治療はなく,対症療法が中心です。
対症療法にはL-ドパ,ドパミンアゴニストを中心とする薬物療法,脳深部刺激療法を中心とする手術療法,カウンセリング,リハビリテーションなどの非薬物療法など多くの選択肢が存在するため,治療の選択肢は複雑化しており,しばしば複数の治療法を組み合わせることが不可欠になっています。 

【参照】

一般社団法人 日本神経学会>ガイドライン>パーキンソン病診療ガイドライン2018