前頭側頭葉変性症frontotemporal lobar degeneration(FTLD)は、初老期(40-60歳代)に発症しやすく、前頭葉と側頭葉を中心とする神経細胞の変性・脱落により人格変化、行動異常、精神症状、言語障害等がみられる進行性の神経変性疾患です。

行動障害や認知機能障害以外にも、パーキソニズム(ふるえる、動作がゆっくりとなる、関節がかたくなる、転びやすくなる)や運動ニューロン症状(筋力の低下、筋肉の萎縮、身体のつっぱり)をはじめとする運動障害を認めることがあります。
アルツハイマー型の認知症と異なり、初期に記憶障害は目立たず行動障害や言語障害が中心となります。

臨床診断名としては前頭側頭型認知症frontotemporal dementia(FTD)も用いられています。

根本的な治療法は未開発ですが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬や行動療法が行動障害を改善するという報告もあります。

【参照】

一般社団法人 日本神経学会>ガイドライン>認知症疾患ガイドライン2017
難病情報センター>病気の解説(一般利用者向け)>前頭側頭葉変性症(指定難病127