安定剤という言葉よく聞きますよね。
安定剤の多くは、①抗不安薬、②抗精神病薬などの不安やイライラを減すために用いられる薬剤です。高齢者では、認知症の周辺症状(興奮、攻撃性、不安や不眠等)を抑える薬として用いられることが多いようです。
使用には医師の処方が必要です。

①抗不安薬

抗不安薬は、主に神経症やうつ病などに使用されます。抗不安薬の多くは、ベンゾジアゼピン系(エチゾラム、ジアゼパム等)の薬です。脳内のベンゾジアゼピン受容体を刺激することで脳の興奮を抑え鎮静、催眠、抗不安などの効果があります。
高齢者に特に気を付けるべき副作用として眠気、筋弛緩作用による運動機能低下、ふらつき、認知機能低下等が現れることがあります。使用する場合は、指示された用法・用量などを守ることが重要です。

②抗精神病薬

抗精神病薬は、主に統合失調症に用いらます。主にドパミン受容体を遮断することで統合失調症の陽性症状(幻覚、幻聴、妄想など)に効果があります。

抗精神病薬には、大きく2種類あり、古くからある定型抗精神病薬(クロルプロマジン、ハロペリドール等)、比較的新しい非定型抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール等)に分けられます。
非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬に比べ錐体外路系副作用(手足のこわばりなど日常の動作がスムーズにいかない症状)が出現しにくい特徴があります。
高齢者には、定型抗精神病薬の使用できるだけ控え、非定型抗精神病薬の必要最小限の使用が推奨されています。

【参照】

厚生労働省>健康のための支援>健康>政策分野に関連のサイト>e-ヘルスネット[情報提供]>健康用語辞典>精神安定剤/抗不安薬
一般社団法人日本老年医学会>高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015