高齢者がかかりやすい病気の1つとして「高血圧」があります。
75歳以上になると男性、女性とも70%以上の方が高血圧というデータもあります。(1)
介護現場でも、高血圧の薬を飲まれている方は多いのではないでしょうか。
今回は、高血圧に使用される薬飲む時に注意することを解説します。

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高血圧とは

血液が血管の中を流れる時、血管の壁に圧力がかかります。この圧力を「血圧」と言います。高血圧は、血圧の数値が高い状態が続くことです。
血圧を測定した時、2種類の数値が表示されますよね。一つは心臓が収縮した時の数値(収縮期血圧)、もう一つはは心臓が拡張した時の数値(拡張期血圧)です。収縮期血圧が140mmHg以上または、拡張期血圧が90mmHg以上であると高血圧と診断されます。(2)

また、高血圧は大きく分けて2種類に分類されます。

本能性高血圧

原因が分からない高血圧。喫煙、生活習慣、遺伝子、加齢などが関係しているのではないかと考えられてる。高血圧患者の約90%を占めています。

二次性高血圧

何かしらの病気(体の働きを調節している物質の分泌異常、腎臓の病気、脳の病気など)や、薬の副作用などにより血圧が上がってしまう高血圧。

高血圧の種類によって、治療方法が変わります。血圧が高い場合、どちらの種類の高血圧なのか病院で検査してもらうことが大切です。

高血圧に使われる薬の種類

高血圧に使われる薬はさまざまあります。また、薬の種類によって血圧の下げ方が違ってきます。ここでは、高血圧に使われる薬の種類を解説します。(3)

血管を広げる薬

血管を広げると、血管の壁にかかる圧力が低くなります。そのため、血圧を下げる効果があります。
ノルバスク(アムロジピン)錠、アテレック(シルニジピン)錠、レニベース(エナラプリル)錠、ディオバン(バルサルタン)錠、オルメテック(オルメサルタン)錠、アーチスト(カルベジロール)錠など。

循環している血液の量を少なくする薬

血液中には、水分と塩分が含まれています。塩分濃度が高くなると、濃度を薄めるために水分が増えるため、血圧が高くなります。そのため、血液中の塩分と水分を排出することで血圧を下げます。

ラシックス(フロセミド)錠、フルイトラン(トリクロルメチアジド)錠、セララ(エプレレノン)錠、ナトリックス(インダパミド)錠など。

高血圧に使われる薬はたくさん種類があります。今飲んでいる薬がどんな働きをする薬なのか疑問に思った方は、担当の医師や薬剤師に聞いてみて下さい。

高血圧の薬を飲む時の3つの注意点

高血圧の薬を飲む時にはいくつか注意点があります。

  1. 基本的に水で薬を飲むようにする
    高血圧の薬には、グレープフルーツジュースとの組み合わせが悪い薬が多いです。高血圧の薬だけではなく、薬は水で飲むようにしましょう。
  1. ふらふらしたり、立つ時にくらっとする時は医師に相談する
    ふらふらしたり、立つ時にくらっとする場合、血圧が下がりすぎている可能性があります。そういった症状がある場合は、薬を飲む前に担当の医師に伝えて、どうしたらよいか聞くようにしましょう。
    また、ふらふらしたり、くらっとした場合は、転んでしまう可能性があります。症状が落ち着くまで無理に動かないようにしましょう。
  1. 決まった時間に飲むようにする
    人によって朝に血圧が上がる方、夜に血圧が上がる方などさまざまです。また、薬の種類によって、効果が出るまでの時間や、効果が続く時間が違います。担当の先生は、血圧の上がるタイミングなどを考えて薬を選んでいます。毎日決まった時間に薬を飲むようにしましょう。

薬を飲んでいて体調に異常を感じた場合は、すぐに担当の医師に連絡するようにしましょう。

毎日しっかり薬を飲むことが大切

今回の記事では以下について解説しました。

・高血圧は収縮期血圧が140mmHg以上または、拡張期血圧が90mmHg以上の値が続いている状態のこと。
・高血圧に使われる薬は血管を広げる薬、循環している血液の量を少なくする薬がある。
・高血圧の薬を飲む時には3つの注意点がある。

高血圧の薬は、毎日しっかり飲むことが大切です。
血圧が落ち着いているから自己判断で薬を飲むのを辞めることはしないで下さい。薬の効果で落ち着いているので、急に薬を止めてしまうと症状が悪化してしまう可能性があります。

薬だけに頼るのではなく、適度な運動をする、1日の食塩の量を抑えるなど日常生活を改善することも大事です。薬について疑問を感じたり、日常生活をどのように改善したいかなど相談事がありましたら、気軽に医療サポーターを頼って下さい。

【参照】
(1)e-Stat政府統計の総合窓口>統計データを探す 
(2)第4版 病気が見えるvol.2(p314~316)

(3)第1版 薬が見えるvol.1(p386)