介護の現場では患者さんご本人がお薬を取りに来れないため代理の方がお薬を取りに薬局にいらっしゃることが多いです。
急いで薬を受け取らなければならない時や、薬剤師からの質問に本人ではないので答えられないという経験もあるのではないでしょうか?

今回の記事をきっかけに、薬局側とご家族やヘルパーさん間でのやり取りがスムーズになり、少しでも薬局の業務をご理解頂けたら嬉しいです。

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処方箋の取り扱いについて

薬局は処方箋に基づいて調剤します。処方箋の取り扱いについて特に知っておいた方が良いことについてお伝えします。

処方箋の有効期限

原則、処方箋の有効期限は交付の日を含めて4日以内となります。
この期限を過ぎてしまうと処方箋は無効となり、薬を渡すことができません。ただし特殊な事情により、医師や歯科医師が処方箋に別途試用期間を記載した場合はその日まで有効になります。(1)
4日の猶予があるので先延ばしにするのではなく、処方箋はなるべく当日中に薬局に持っていくことをおすすめします。

システム活用による時間短縮術

すぐに薬を貰いたい方のために各種サービスを活用し、薬の準備をしてもらう方法をご紹介します。

①FAXの活用

処方箋を病院からFAXで送信し、病院から薬局に着くまでの間に準備を進めておくという方法です。お薬の受け取りには処方箋の原本が必ず必要になります。
病院から薬局までの移動時間中に準備が進むことによるメリットは大きいです。

②電子サービスの活用

上記に記載したFAXと同様の流れではありますが、電子サービスを活用した場合はさらなる利便性を感じることができるでしょう。電子サービス導入の有無は事前に薬局に確認しておくことをおすすめします。

■くすりの窓口、kakari、あなたの調剤薬局など
処方箋をスマホで撮って送信すると薬局にデータが届くシステムです。
操作も簡単で、システム上でメッセージのやり取りができます。
メリットは大きく分けて以下の3つになります。
・受け取り希望予定時刻が設定できる
・先発・ジェネリック調剤についての事前確認ができる
・お薬の準備完了の通知が送られてくる  等

FAXでのやり取りでは確認できない細かい部分まで対応できることが良い点だと感じています。

LINE
上記サービスと比較すると、チャット機能を手軽に使用できる点が大きなメリットになります。薬局によっては会社・店舗毎にLINEのアカウントを作成しているところもあります。細かい活用のルールはその薬局毎に変わるかもしれません。利用する薬局に、導入しているかや使い方を聞いてみてはいかがでしょうか。

お薬の準備にあたって気になることやその他の情報を教えていただけるとよりスムーズに準備に取りかかれます。また、調剤後に気になることの相談等に活用していただけることもあり、薬局をより身近な存在に感じるようになったというお声を頂いたこともあります。

本人と医師のやり取りの把握

薬局でお薬を貰う時にいくつか質問を受けたが本人では無いので分からないという経験はありますか?薬局側も安全にお薬を使用して頂くため、確認や質問をさせていただいています。よくある事例とその理由についてお伝えします。

①診察時に医師から言われた内容について
特にお薬の内容が変わった時にはこの質問は多いと思います。医師が病状を説明し、薬の増減や変更について話された内容を薬局側にも伝えて頂けると処方箋の内容もより深く確認できますし、患者さんにより安全にお薬を使用して頂くことに繋がります。

②代理の方から見た患者さんご本人の状態について
処方されている薬が患者さんの状態に適しているかの確認の意味で聞くことが多いです。患者さんご本人の状態についての情報がありますと、薬局側からもより適切な医療に繋げるための提案を医師や他の医療関係者にすることができます。

③患者さん・介護する方のお悩みについて
些細なお悩みでも教えて頂けたら、それを解決するための手段の提供ができる可能性があります。薬の飲み忘れが多いので一包化調剤に変更したり、薬の飲み込みが難しくなったので錠剤を粉に変えたりと個人にあった最適な方法を提案・実行することもできます。

便利な医療制度に関連するお知らせ

病院や薬局に行き保険証の提示を求められてどこにしまったか探した経験はありませんか?実はマイナンバーカードが保険証の代わりになります。マイナンバーカード活用のメリットについてお伝えします。(2)

マイナンバーカード活用のメリット

①顔認証で受付が自動化される
コロナ禍で人との接触をあまりしたくないという声も少なくありません。しかし、オンライン資格確認が導入され、マイナンバーカードの顔写真データと窓口で撮影した本人の顔写真を照合し、本人確認ができるようになりました。

②正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられる
過去の健診のデータやお薬のデータが自動連携されます。そのデータに基づいて診療やお薬の決定がされるので、より良い医療サービスを受けることができます。また、旅行先等での急な受診の時も情報が連携されるので安心して医療サービスを受けることができます。

③窓口での限度額以上の一時支払いが不要
急な入院により多額な費用が発生してしまうことがあります。手続きが間に合わないと一時的に高額な費用を支払うことになります。しかし、マイナンバーカードを活用するとその手続きが不要になります。

(引用:https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000577618.pdf p.4)

まとめ

今回の記事ではご家族やヘルパーさんに知っていただきたい内容をご紹介しました。患者さんご本人がより良い医療を受けるために、ご家族やヘルパーさんがより動きやすくなるような情報をご紹介しましたので、参考になれば幸いです。介護をするうえで不安なことや悩み事があればお気軽にかかりつけの薬局に相談してください。

【参照】

1:厚生労働省:処方せんの使用期間にご留意ください

2:マイナンバーカードの健康保険証利用について