【薬剤師監修】介護現場で知っておくべき骨粗しょう症の薬の知識と注意点

【薬剤師監修】介護現場で知っておくべき骨粗しょう症の薬の知識と注意点

介護現場においても骨粗しょう症の治療として、お薬を服用している高齢者は多くいらっしゃいます。
薬局での対応の中で、
「骨粗しょう症の薬はどれですか?」
「1ヶ月に1度飲めば大丈夫なの?」

など患者さんご本人やご家族から相談を受けることもあります。
今回は、骨粗しょう症に処方される薬の種類や特徴を説明するとともに、介護現場で注意
するべきことも合わせて説明します。

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骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、「骨の代謝バランスが崩れ、骨がもろくなった状態」のことを指しま
す。一見、骨は、ずっとそこに存在しているように思われますが、実は、常に新陳代謝を
繰り返しています。作られる(骨形成) 吸収される(骨吸収) 作られる(骨形成)を→→
繰り返しています。その新陳代謝のバランスが崩れることを骨の代謝バランスが崩れてい
ると表現します。(1)
また、骨粗しょう症になると、骨がもろくなり、骨折しやすい状態となります。そのため、
「転んだ時に骨折をしてしまった」という話も耳にすることです。

骨粗しょう症にはどんな薬が使われる?

薬を飲む目的としては、骨密度を高めて、骨折のリスクを減らすことです。但し、薬に頼
るだけでは、完全に骨折をなくすことはできないため、食事、運動をあわせて治療をおこ
なっていく必要があります。
骨粗しょう症に処方される薬には、大きく分けて3つのタイプがあります。(2)

①骨吸収をおさえる薬
②骨形成をうながす薬
③骨代謝を調整する薬


次にそれぞれのタイプの薬について説明します。少し難しい内容になりますので、特徴だ
けざっくりと読んでいただいて、読み飛ばしていただいて構いません。

骨吸収をおさえる薬

骨吸収の働きをおさえることにより、骨が破壊されるのをおさえ、骨密度と骨強度を高
るはたらきがあります。
※骨吸収とは・・・骨を壊す細胞のはたらきのこと


ビスホスネート製剤

*おくすり例
ベネット(リセドロン酸ナトリウム水和物)
ボノテオ(ミノドロン酸水和物)
ボンビバ(イバンドロン酸ナトリウム水和物)

*特徴
飲み方が特徴的で、薬によって服用間隔が異なるので注意が必要です。
起床時に服用します。薬によって、1日1回、1週間に1回、4週間に1回、などの服用
間隔が決まっています。薬局で薬を受け取る時に、必ず薬剤師に確認し、指示を守るよう
にしてください。間隔が長くて服用回数が少ないほど便利ですが、注意点としては飲み忘
れがあります。
飲み忘れ対策としては、薬のシートに飲む日を書く、薬をカレンダーに貼る、飲んだら数
字に丸をつける、などをおすすめします。
※その他の注意点など、こちらの記事をご参考下さい。
【薬剤師監修】骨粗鬆症と介護の関係性と特徴的な薬

選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)製剤

*おくすり例
エビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)
ビビアント(デバゼドキシフェン酢酸塩)

*特徴
閉経後に、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下することによって起こる骨の代
謝バランスの乱れを正常に近づけます。通常は、閉経後骨粗鬆症の治療に使われます。


抗ランクル抗体製剤(注射)

*おくすり例
プラリア皮下注(デノスマブ)
ランマーク皮下注(デノスマブ)

*特徴
注射薬となります。プラリアは6ヶ月に1回、ランマークは4週間に1回の製剤です。

骨形成をうながす薬

骨が作られるはたらきをうながし、骨密度・骨強度を改善し、骨折のリスクを減らす効果
を期待して使用される薬です。

副甲状腺ホルモン

*おくすり例(注射薬)
フォルテオ皮下注(テリパラチド)
テリボン皮下注(テリパラチド酢酸塩)

*特徴
注射薬となります。フォルテオは毎日の注射が必要でしたが、テリボンは週1回の注射に
なります。使用する日数の合計が24ヵ月をこえて使われることはありません(添付文書
に記載あり)。
そのため、使用開始日時はメモしておき忘れないようにしましょう。(3)

骨代謝を調整する薬

骨代謝に関連するビタミンDやカルシウムのことです。薬で補充することで骨代謝のサ
ポートに繋げます。

ビタミンD製剤

*おくすり例
ワンアルファ(アルファカルシドール)
エディロール(エルデカルシトール)

*特徴
カルシウムの吸収を助け、骨の新陳代謝をサポートします。高齢者など腎機能が低下して
いる方では、血中のカルシウムが増えすぎてしまう(高カルシウム血症)リスクがあるた
め、注意が必要です。(4)
高カルシウム血症の初期症状として倦怠感やイライラ感、吐き気や食欲が減ってしまうな
どがあります。気になる症状があったら早めに医療機関を受診して下さい。(5)

カルシウム製剤

*おくすり例
アスパラCA(L-アスパラギン酸カルシウム水和物)

*特徴
ビタミンD製剤と合わせて使用されるケースをよく見かけます。血中のカルシウムが増え
すぎてしまう(高カルシウム血症)リスクがあるため、初期症状には注意しましょう。

まとめ

ご本人の骨粗しょう症の状態や生活背景によって、どのお薬が適しているのか選択されます。飲み方や使用間隔など注意すべき点がある薬がありますので、よく確認し、指示を守
るようにしましょう。気になることがある場合には、医師や薬剤師に相談するようにしま
しょう。

【参照】

1.e- ヘルスネット 骨粗鬆症

2.骨粗鬆症の薬物治療

3.テリボン皮下注用 56.5μg

4.高カルシウム血症の鑑別診断

5.エルデカルシトールによる高カルシウム血症と血液検査の遵守について

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