「在宅介護は、家族の負担が大きいし大変そう」
「在宅介護について、誰に相談したらいいのかわからない」
いざ自宅で在宅介護をするとなると、不安な気持ちが出てくるのではないでしょうか。
在宅介護は”家に閉じこもり、誰にも相談できず、困り果て疲れてしまう”というイメージがあるかもしれません。
しかし、実は周りにたくさんの頼れるサポーター達が存在しています。
- 介護現場で困るのはどんなことか
- にはどんなサポーターがいるのか
日常的に介護現場をサポートしている薬剤師の筆者が、家族目線で解説していきます!
家族が在宅介護となった場合に困ること
下に挙げているのは、内閣府による高齢者介護に関する世論調査の結果です。[1]
家族が在宅介護が必要になった場合に困る点
- 食事や排泄,入浴など世話の負担が重く,十分な睡眠が取れないなど肉体的負担が大きい
- ストレスや精神的負担が大きい
- 家を留守にできない,自由に行動できない
- 介護に要する経済的負担が大きい
- 仕事に出られない、仕事を辞めなければならない
- 適切な介護の仕方がわからないなど、必要な知識がない
- 介護サービスについての情報が少ない
介護現場に対して、かなりの負担や不安を感じていることがわかります。
家族の「肉体的、精神的、経済的負担」を不安に思っている方も、多いのではないでしょうか。
そんな中、困ったときに「誰が、どんなサポートをしてくれるのか」を把握していれば、きっと不安も軽減できるはずです。
介護現場には、大きく分けて「医療のサポーター」と「介護のサポーター」がいます。
まずは、周りにどんなサポーターがいるのか役割を理解していきましょう。
医療のサポーターについて
介護現場の医療では、医師や歯科医師、看護師など多職種が集まり、スペシャルチームが結成されています。
チームで行うのは、訪問診療や訪問看護など、基本的にご自宅や入居施設での医療です。
家族の通院付き添いが不要になるなどのメリットがあり、介護を行う方々の負担軽減に繋がっています。
医師
訪問診療として、2週間に1回、月に1回など定期的にご自宅や入居施設を訪問しています。
診察・診断・治療・お薬の処方など一連の診療を行い、他の医療従事者に指示を出す司令塔の役割です。
歯科医師
訪問診療として、虫歯、歯周病、入れ歯のチェックなどの「口腔ケア」を行います。
食べ物をしっかり噛んで飲みこめるかという「嚥下機能」を定期的に診てもらうことは非常に大切です。[2]
看護師
自宅を訪問し、健康状態の確認や、医師の指示に基づいた処置を行います。
日常の在宅医療の要として、重要な役割です。
医療サポーターの中で、最もご家族が相談しやすい立場といえます。
薬剤師
在宅医療における薬についてサポートしています。
医師から処方された薬を、ご自宅に届けながら、飲み忘れはないか、副作用が出ていないかなどをチェックする役割です。
残ってしまった薬や使い方がわからない薬についても、気軽に相談できます。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
医師の指示により、自宅を訪問し、身体機能の維持や向上のためのサポートをしてくれます。
リハビリテーションを通じて、「歩く」「食べる」「話す」などの日常生活に必要な機能訓練をする役割です。
管理栄養士
医師の指示により、自宅を訪問し、食事の栄養管理についてサポートしてくれます。
「食事でしっかり必要な栄養が摂れているか」「食事の固さは適切か」など調理方法や栄養管理についてアドバイスする役割です。
介護のサポーターについて
介護現場では、ご本人やご家族の日常生活を支えるサポーターがいるのも安心です。
ちょっと困ったときに相談できる身近な存在として、様々なサポーターが存在しています。
家族の負担軽減についても、気軽に相談してみてくださいね。
ケアマネジャー
介護状況に合わせて、ケアプラン作成などのサポートをしてくれます。
ご本人やご家族と相談しながら、訪問介護やデイサービスなどを受けられるよう計画や調整を行う役割です。
日常生活に関する介護の司令塔と言っても良いでしょう。
医療のサポーターと介護のサポーターの橋渡し役としても、頼れる存在です。
ヘルパー
ケアプランに従い、自宅を訪問し食事や排泄、入浴などの日常生活をサポートしてくれます。
介護生活では一番身近で、気軽に相談できるサポーターです。
ヘルパーの役割は、厚生労働省からの通知で細かく決められていますので、確認してみましょう。[3]
介護現場で困ったことがあれば気軽に相談しましょう
内閣府の調査の結果からも、介護現場は家族の負担が大きく、不安に思われていることがわかります。
しかし「医療サポーター」や「介護サポーター」から、たくさんのサポートが受けられることが分かったのではないでしょうか。
それぞれの役割を把握できたので、「どんなときに誰に相談すれば良いのか」なんとなくでもおわかり頂ければ嬉しいです。
誰に相談すれば良いのかがわかるだけで、安心につながりますよね。
在宅介護だからと悲観的にならず、どんな生活を一緒に送っていきたいのか、1度サポーターに相談してみてくださいね。
【参照】
[1] 高齢者介護に関する世論調査(内閣府)
https://survey.gov-online.go.jp/h15/h15-kourei/2-1.html
[2] e-ヘルスネット > 歯・口腔の健康 > 高齢者への対応 > 要介護高齢者の口腔ケア
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-08-003.html
[3] 「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について,Vol.637,平成30年3月30日,厚生労働省老健局振興課
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2018/0402095345456/ksVol637.pdf