「介護現場のサポーターの役割は分かったが、連携はできているの?」
「介護現場ではどんな連携をしているの?」
サポーターがたくさん居ても、バラバラに動いていたら不安になってしまいますよね。
介護現場では、サポーターがチームを結成し連携することで、手厚いケアを行っています。
今回の記事では、下記2つを中心に、介護現場の連携を詳しく見ていきましょう!
- 介護現場のサポーターはどんな連携をしているのか
- 介護現場のサポーター同士がもし連携していなかったら?
日常的に介護現場をサポートしている薬剤師の筆者が、ご家族の目線に添って解説していきます。
介護現場のサポーターがどのような連携をしているのか
介護現場において鍵となるのは、サポーター同士の連携です。
家族がサポーターに相談した内容が共有されることで、問題解決がスムーズに進みます。
医師やケアマネジャーなど司令塔からの指示が複数のサポーターに伝わることも、連携するメリットの1つと言えるでしょう。
医療サポーター同士の連携
在宅医療の中心は、医師や歯科医師による訪問診療です。
2週間に1回など計画を立てて、定期的に自宅などを訪問してくれます。[1]
実は介護される本人の情報は、訪問診療をする前に自宅に訪れた看護師や薬剤師などから、すでに医師へフィードバックされています。
この事前のフィードバックは、看護師目線や薬剤師目線の幅広い情報となるので、医師の診療をバックアップしているのです。
医師による訪問診療が終わると、診療情報と一緒に、他の医療サポーターへ以下のような指示が出されます。
- 看護師に「訪問看護指示書」や「在宅患者訪問点滴注射指示書」の発行[2]
- 薬剤師に本人や家族を介した処方せんの交付、訪問の指示
- 必要に応じて、理学療法士などリハビリ職や管理栄養士への訪問指示
医師の訪問診療後は、診療情報の共有と指示を受け、看護師、薬剤師などがそれぞれ自宅を訪問しサポートしていきます。
その際患者さんの情報を収集し、医療連携のネットワークにより共有。その後次回の訪問診療に役立てられるというサイクルになっています。
多職種がそれぞれ訪問することで、こまめに状態の変化を確認できるのもポイントです。
また、顔が見える連携として、定期的に在宅医療の勉強会を行っているチームもあります。
勉強会を通じて普段からコミュニケーションを取ることで連携がより深まるので、家族にとっては心強いですよね。
介護サポーター同士の連携
日常生活の介護サービスは、ケアマネジャーが本人の状態や生活状況に合わせて、家族と相談しながらケアプランに組み込んでいます。
ケアプランに沿って、ヘルパーが自宅を訪問し介護サービスを提供するという流れです。
ヘルパーは日常生活を支援しているので、「いつもと違う」変化にも気づくことができます。
こうしたヘルパーからの情報は、サービス提供責任者を通して、ケアマネジャーにフィードバックされる仕組みとなっています。
サービス提供責任者は、「ヘルパーが行う介護サービスの責任者」と、説明するとわかりやすいかもしれません。
役割としては、ケアマネジャーとヘルパー間の調整役です。
利用者40人以上の訪問介護事業者において、サービス提供者の設置義務があります。
サービス提供責任者は、介護の連携として以下の業務をしています。[3]
- ヘルパーや自分が収集した情報を集約し、ケアマネジャーへ報告する
- 介護サポーターの会議に出席して連携する
医療サポーターと介護サポーターの連携
これまで医療サポーター同士、介護サポーター同士の連携を紹介してきました。
では医療サポーターと介護サポーターの連携はどうでしょうか?
実は、医師の訪問診療、看護師や薬剤師の訪問後の情報はケアマネジャーにも共有されます。
ケアマネジャーは医療サポーターからの情報を参考にして、本人や家族にあった介護サービスを組み立てたり、見直したりしていくのです。
またヘルパーが感じた「いつもと違う」変化は、ケアマネジャーを通して、医療サポーターへ提供されることも忘れてはいけません。
さらに、医療と介護の連携強化に向け、国や地方自治体の積極的な動きも注目されています。[4]
最近では、医療と介護連携の勉強会を行ったり、多職種連携アプリを活用したり、より密な連携をする取り組みも増えています。[5]
ICT(通信情報技術)により、タイムラグなく情報が共有されスムーズな対応ができるので、ご家族の安心にもつながりますよね。
「医療の連携」と「介護の連携」の情報を集約することで、より手厚いケアにつながるのは間違いありません。
もし介護現場の連携が全くなかったら
もし、医療や介護が全く連携していなかったらどうなるでしょうか?
医療の連携がなかったら
- 医師の指示が看護師に伝わらず、適切な治療が行われなかった
- 服薬について、医師と薬剤師の言うことが違っていた
介護の連携がなかったら
- ヘルパーがいつもと違う様子に気づいたが、誰にも伝えなかった
- ケアマネジャーからヘルパーに、サービス変更の連絡がされなかった
医療と介護の連携がなかったら
- 薬の変更があったが、薬剤師が服薬介助するヘルパーに伝えていなかった
- 情報がなく、病状に合わせた介護サービスが提供されていなかった
考えただけでもゾッとしますよね......!
家族の不安は増す一方です。
介護現場では、サポーター同士の連携がどれだけ重要か、おわかり頂けたのではないでしょうか。
介護現場のサポーターの連携を頼りましょう!
周りにいるサポーターは、各々動いているのではなく、しっかり連携していることがわかりましたね!
- 医療と介護のサポーターは訪問のたびに情報を共有している
- 最近ではICT(通信情報技術)を使って連携する取り組みも増えている
- 介護現場でサポーター同士の連携は、家族の安心感にもつながる
今回挙げた事例以外にも様々な連携強化の取り組みがされています。
サポーター同士はより密に連携するよう、日々努力し進化させているのです。
今回の記事で、サポーター同士がどんな連携をしているのか、イメージ出来たのではないでしょうか?
なんとなくでもおわかり頂ければ嬉しいです。
介護現場で困ったことがあれば、ぜひサポーターに相談してみてくださいね。
きっと情報が共有され、サポーター全員で問題解決に動いてくれるはずです。
【参照】
[1]在宅医療の推進について「在宅医療をご存知ですか?」リーフレット,厚生労働省
[2]あなたらしさを支える訪問看護,東京都福祉保健局
[3]社保審-介護給付費分科会第182回(R2.8.19) 資料2「訪問介護・訪問入浴介護」,厚生労働省
[4]在宅医療・介護連携推進事業の手引き,厚生労働省
[5]柏モデルガイドブック(第2版)