【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい、薬と食べ物の組み合わせについて

【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい、薬と食べ物の組み合わせについて

「健康のために、毎日果物を食べようかな」
「好物だから、納豆は頻繁に食べている!」

毎日の食事によって、体の健康を維持しようと心がけている方は多いのではないでしょうか?
また、食事を日常の楽しみにしている方もいるのではないでしょうか。
実は、薬の種類によって、普段口にしている食べ物と組み合わせが悪いものがあります。
今回は、介護現場でも知っておきたい薬と食べ物の組み合わせについて、薬剤師が解説します。

薬と食べ物の組み合わせを気をつけるべき理由とは?

なぜ薬と食べ物の組み合わせが悪いのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
まず初めに、薬と食べ物の組み合わせを気をつけるべき理由について解説します。

組み合わせると、何が起こってしまうのか

薬と食べ物の組み合わせが悪いと、薬の効果が強く出たり、弱く出たりします。また、吐き気、食欲不振などの副作用の発現にも影響があります。(1) 
薬と食べ物の組み合わせによって影響が出るメカニズムは、2つパターンがあります。

①食品に含まれている成分が、薬の吸収、代謝等に影響を及ぼしてしまう。
②食品に含まれている成分が、薬の効き方に協力したり、逆に抵抗したりすることで影響を及ぼしてしまう。

薬をしっかり飲むことは大切です。しかし、食べ物との組み合わせが悪いと薬の効果に影響を及ぼし、体に害が出る可能性があります。

時間をずらせば大丈夫?

「薬を飲む時間と食べ物を食べる時間をずらせば大丈夫なのでは?」と考える方もいるかもしれません。
薬と食べ物の組み合わせによっては、時間をずらすことで影響を防げる組み合わせもあります。しかし、全ての組み合わせが当てはまるわけではありません。
「時間をずらせば大丈夫」と自己判断で薬を飲むのは避けるようにしましょう。

組み合わせが悪い食品の代表例

薬と食べ物の組み合わせが悪いとどのような影響が出るのかお分かりいただけたでしょうか。

どんな薬が食べ物と組み合わせが悪いのか、気になる方もいるのではないかと思います。
ここでは食べ物と組み合わせが悪い食品の代表例を紹介します。(2)

グレープフルーツジュース

グレープフルーツに含まれている成分が、薬の分解を邪魔してしまいます。
その結果、薬の効果が強く出てしまい、体に影響が出ます。
グレープフルーツジュースと組み合わせが悪い薬の代表は血圧を下げる薬(成分名アムロジピン:商品名アムロジン、ノルバスク他)、コレステロールを下げる薬(成分名アトルバスタチン:商品名リピトール、カデュエット他)などがあります。
グレープフルーツジュースと組み合わせが悪い薬は色々あるので、薬剤師に聞くことをおすすめします。

納豆、クロレラ、青汁

納豆、クロレラ、青汁はどれもビタミンKを多く含んでいます。
ビタミンKと聞くと、体に良さそうですよね。
しかし、血液を固まりにくくするワルファリン(成分名ワルファリンカリウム:商品名ワーファリン、ワーファリンK)を飲んでいる方がビタミンKを大量に摂取してしまうと薬の効果を弱めてしまいます。
ワルファリンを服用している方は、ビタミンKが多く含有されている納豆、クロレラ、青汁を食べる際、薬剤師に一度ご相談ください。 

チーズ

チーズにはチラミンという成分が含まれています。
一部の薬が、チラミンの分解を邪魔してしまいます。
その結果、頭痛、血圧上昇、顔が火照ったりする症状が現われることも。
チーズと組み合わせの悪い薬は、パーキンソン病の治療薬(成分名:セレギリン、商品名:エフピー)、結核の治療薬(成分名:イソニアジド、商品名:イスコチン他)、不安な気持ちを和らげる薬(成分名:イミプラミン、商品名:トフラニール、イミドール)があります。また、チーズ以外にもチラミンを多く含む食べ物はあります。
ワイン、レバー、バナナなどもチラミンが多く含まれるとされているため、薬と同じタイミングで食べているという方は、薬剤師に一度ご相談ください。(3)

牛乳

牛乳は薬の種類によって吸収を悪くしたり、副作用が出やすくなったりします。
一部の抗生物質は牛乳との組み合わせにより、薬の吸収が悪くなってしまいます。この場合は、薬を飲んでから2時間は牛乳を飲まないようにして下さい。

また、ビタミンDが含まれている薬(成分名:アルファカルシドール、商品名:アルファロール、ワンアルファ他)、胃薬(成分名:酸化マグネシウム、商品名:マグミット、重カマ他)との組み合わせにより、カルシウムの濃度が上がってしまうことも。
カルシウムの濃度が高くなると、吐き気や食欲不振などの症状が現われます。この場合は、牛乳の大量摂取を避けるようにして下さい。

薬と食べ物の組み合わせに気をつけるために

薬と食べ物の組み合わせを気をつけるために、まずは今飲んでいる薬を薬剤師に把握してもらいましょう。
薬剤師は薬のプロです。今飲んでいる薬がどの食べ物と影響があるのか、薬剤師からアドバイスしてもらいましょう。

また、薬剤師は患者様の意見を聞いて先生に薬の変更の提案をすることもできます。薬による食生活の影響がストレスになってしまう場合は、遠慮せずに薬剤師に相談することもおすすめです。

組み合わせには気をつけましょう

今回の記事では以下について解説しました。

・薬と食べ物の組み合わせによって、薬の効果や副作用に影響が出る
・薬と食べ物の時間をずらせば影響がないものばかりではない
・薬に影響が出る食べ物はいくつかある
・薬剤師に飲んでいる薬とよく食べる物・飲む物を把握してもらい、正しいアドバイスを受けることが大切

症状を改善させるためには、薬を正しく飲むことが大切です。
薬を正しく飲むにはタイミングを守るだけではなく、薬と食べ物の組み合わせも大事なポイントです。些細なことでも大丈夫です。疑問に思ったことを薬剤師に相談してみようと思っていただけたら幸いです。

【参照】

(1)Ae-ヘルスネット > 栄養・食生活 > 食物と薬の相互作用 > 食物と薬の相互作用(基本編)
(2)一般社団法人くすりの適正使用協議会>くすりの使い方>くすりと食品の相互作用
(3)公益社団法人新潟県薬剤師会>会員向け>情報センターより> 薬事情報Q&A>副作用・相互作用
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