【薬剤師監修】飲みにくさを解消!エンシュアのアレンジ方法4つをご紹介

【薬剤師監修】飲みにくさを解消!エンシュアのアレンジ方法4つをご紹介

「エンシュアは、味が苦手で飲みにくい」
「ジュースみたいだけど、どんな成分が入っているの?」

介護現場で、エンシュアという栄養剤を見かける方は多いですよね。
どんな成分が入っているのか疑問に感じたり、要介護者から飲むことを拒否された経験はありませんか?実は、少しのアレンジでエンシュアを飲みやすくできますよ。

今回は、飲みにくさを解消するエンシュアのアレンジ方法について、薬剤師がご紹介します。

エンシュアとはどんな薬なのか

エンシュアは、栄養剤と認識されていますよね。しかし、エンシュアの詳しい成分についてご存知でしょうか?
まず初めに、エンシュアとはどんな薬なのか解説します。

エンシュアの成分について

エンシュアには、タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素に加えて、ビタミン、ミネラルが含まれています。
下記の表は、実際エンシュアに入っている成分の一覧です。(1)

タンパク質

ビタミンB1

ビオチン

脂肪

ビタミンB2

ナトリウム

亜鉛

炭水化物

ビタミンB6

カリウム

ビタミンA

ビタミンB12

塩素

ビタミンD

コリン

カルシウム

ビタミンE

葉酸

リン

ビタミンK

ナイアシン

マグネシウム

ビタミンC

パントテン酸

マンガン

三大栄養素、ビタミン、ミネラルが入っているため、しっかりした栄養補給ができそうですね。しかし、過剰に摂りすぎても体に良くありません。医師の指示に従って決められた量を飲むようにしましょう。

エンシュアを飲む人とは

エンシュアの添付文書では下記のように記載されています。

”一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。”
引用:経腸栄養剤(経口・経管両用)エンシュア・リキッド添付文章

つまり、手術後しっかりと栄養が摂れなかったり、消化や吸収力が低下している方、口からの栄養補給が難しいため、口以外から栄養を補給する方が該当します。

また、食欲が低下し十分な栄養が摂れない高齢者にも使用されます。

エンシュアの味や種類について

エンシュアは種類が2つあります。また、種類によって味のレパートリーも異なります。

  • エンシュア・リキッド
    味:バニラ、コーヒー、ストロベリー
  • エンシュア・H
    味:バニラ、コーヒー、バナナ、黒糖、メロン、ストロベリー、抹茶

さまざまな味があると、気分や好みで選べるので、継続して飲むことができそうですね。

エンシュア・リキッドとエンシュア・Hの違いとは

エンシュア・リキッドとエンシュア・Hは、どのように違うのでしょうか。
上記2つは含有されている成分は全く同じです。しかし、成分量に違いがあるので、簡単にご説明していきます。

下記は三大栄養素、ビタミン、ミネラルの含有量をまとめた表です。(1)(2)

エンシュア・リキッド

エンシュア・H

タンパク質

8.8g

13.2g

脂肪

8.8g

13.2g

炭水化物

34.3g

51.5g

エンシュア・リキッド

エンシュア・H

ビタミンA

625IU

938IU

ビタミンD

50IU

75IU

ビタミンE

7.5mg

11.3mg

ビタミンK

17.5μg

26.3μg

ビタミンC

38mg

57mg

ビタミンB1

0.38mg

0.57mg

ビタミンB2

0.4mg

0.65mg

ビタミンB6

0.50mg

0.75mg

ビタミンB12

1.5μg

2.3μg

コリン

0.13g

0.2g

葉酸

50μg

75μg

ナイアシン

5.0mg

7.5mg

パントテン酸

1.25mg

1.88mg

ビオチン

38μg

57μg

エンシュア・リキッド

エンシュア・H

ナトリウム

0.2g

0.3g

カリウム

0.37g

0.56g

塩素

0.34g

0.51g

カルシウム

0.13g

0.2g

リン

0.13g

0.2g

マグネシウム

50mg

75mg

マンガン

0.5mg

0.75mg

0.25mg

0.38mg

亜鉛

3.75mg

5.63mg

2.25mg

3.38mg

エンシュア・リキッドに比べ、エンシュア・Hの方が成分量が多く含有されています。そのため、1缶あたりのカロリーも多くなっています。また、エンシュア・Hの方が粘度が高いため、ドロっとしていることも違いの1つです。

エンシュアのアレンジ方法4つをご紹介

さまざまな味があるエンシュアですが、人それぞれ好みに好き嫌いがありますよね。
「医師から飲んで下さいと言われたけど、飲みにくくて毎日飲むのはちょっと......。」と気が引ける方もいるのではないでしょうか。
ここでは、エンシュアの飲みにくさを解消するアレンジ方法を4つご紹介します。(3)

  • 冷やす
    エンシュアを冷蔵庫で冷やしたり、氷を入れたりすることで、エンシュアの甘みを抑えることができます。
  • 温める
    冷たい状態で飲むのが苦手な方は、温めて飲む方法もあります。
    しかし、温める場合は、温度に注意してください。50度以上の温度にしてしまうと、エンシュアに含有されている成分が壊れてしまいます。温める際は、湯煎で温めるようにしましょう。
  • 形を変える
    ゼラチンや粉末寒天を使用して形状を変えることもできます。ただし、エネルギー制限をされている方は、ゼラチン等のエネルギーを考慮して調節しましょう。また、数日まとめて作り置きはせず、その日食べれる量だけ作るようにして下さい。
    おすすめなのは、冷凍庫に入れてシャーベット状にする方法です。シャーベットにすることで、甘みを抑えるだけではなくデザート感覚で食べることができます。
  • 混ぜる
    ジュースやヨーグルトなどを入れると、風味が変わり飲みやすくなります。混ぜる場合も、エネルギー制限をされている方は摂取する総エネルギーに注意するようにして下さい。また、果物のジュースは混ぜると固まってしまう場合があるので避けましょう。
    おすすめなのは、コーヒーに混ぜて飲む方法です。コーヒーの苦味がエンシュアの甘みを抑えてくれるので、飲みやすくなります。また、温かいコーヒーに入れる場合はエンシュアの成分が壊れないよう、50度以下の温度で混ぜるようにして下さい。

要介護者によっては、飲み込む機能(嚥下機能)が弱い方もいます。上記4つのアレンジ方法を試す際は、粘度が変化する場合もあるので、薬剤師へ相談してみましょう。

しっかり飲んで栄養を補給しましょう

今回の記事では以下について解説しました。

  • エンシュアは三大栄養素、ビタミン、ミネラルを補給する栄養剤であること
  • エンシュアには、エンシュア・リキッド、エンシュア・Hの2種類あり、それぞれ味の種類が違う。また、成分の含有量やエネルギー量も違う
  • 食欲が低下した高齢者だけではなく、術後などでしっかり栄誉が摂れない方、口から栄養が摂れない方が使用する
  • エンシュアには大きく分けて4つアレンジ方法がある。アレンジする場合、方法によって注意すべき点がある

しっかり栄養が摂れないと、免疫力が落ちたり、体力が落ちてしまいます。そうなると、さまざまな体の不調が生じますよね。
元気な体を維持するためにも、しっかりと栄養を摂りましょう。エンシュアに飲みにくさを感じている方は、今回ご紹介したアレンジ方法を試していただけたら幸いです。

【参照】

(1)独立行政法人医薬品医療機器総合機構>医療用医薬品情報検索>経腸栄養剤(経口・経管両用)エンシュア・リキッド
(2)独立行政法人医薬品医療機器総合機構>医療用医薬品情報検索>経腸栄養剤(経口・経管両用)エンシュア・H
(3)feedM.E.栄養改善データベース>経腸栄養製品の飲み方の工夫
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