【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい不眠症の原因と対処方法を解説

【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい不眠症の原因と対処方法を解説

「夜すっきり寝られない」
「夜中に目が覚めてしまう」

こんな悩みを抱えた高齢者を、介護現場で見かけませんか?
国民の5人に1人が、不眠について何らかの悩みを抱えていると言われています。
また、不眠症は、高齢になるほど発症する方が多くなるという報告もあります。(1)
不眠症は「国民病」と言われているように、介護現場でもよく見られる病気の1つです。
不眠症についての知識があると、介護現場でも役立ちますよね。
今回は、不眠症の種類、原因、薬に頼らない対処方法について解説します。

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不眠症について

不眠症という言葉は、誰もが耳にしたことがありますよね。
では、具体的にどのような病気や種類があるのかご存じでしょうか?
初めに、不眠症について説明します。

不眠症とは

不眠症とは、寝れない状態が1ヶ月以上続き、日常生活でさまざまな体調不良(体の怠さ、集中力の低下、食欲の低下など)が起こることです。(2)

不眠症には4つの種類がある

不眠症には、症状によって4つの種類に分けられます。(3)

  1. 寝付きが悪い(入眠障害)
    ベッドに入ってから寝るまでに、長い時間がかかってしまうタイプ。不眠症の中で、1番多いタイプとされています。
  1. 夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)
    夜寝ている最中に、何度も目が覚めてしまうタイプ。このタイプは、高齢者に多い傾向があります。
  1. 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
    起きようと思っていた時間よりも、早く目が覚めてしまうタイプ。高齢者や、うつ病の方に多い傾向があります。
  1. 寝た感じがしない(熟眠障害)
    しっかり睡眠時間は取れているが、眠りが浅いため寝た感じがしないタイプ。

不眠症は、症状によってさまざまなタイプがあります。
どのタイプの不眠症なのか知っておくことも大事ですね。

高齢者の不眠症の原因

高齢者の不眠症の原因は、主に5つあります。(4)

  1. 体内時計にずれが生じている
    人は、朝は目が覚めて、夜になると眠たくなりますよね。これは、私たちの体の中にある体内時計で調節されています。
    高齢者になると、朝早く目が覚めてしまうことがありますよね。これは、体内時計がズレてしまうことが原因で起こります。
  1. 眠りが浅くなっている
    寝ている間、私たちの体の中では、2種類の睡眠が交互に繰り返されています。
    1種類目はレム睡眠(浅い睡眠)、2種類目はノンレム睡眠(深い睡眠)です。
    高齢になると、レム睡眠が増えて、ノンレム睡眠が少なくなります。睡眠の質が変化することによって、夜中に目覚めやすくなってしまいます。

引用: 榎本みのり. 休養・こころの健康>睡眠と健康高齢者の睡眠 .e-ヘルスネット.厚生労働省(2020)

  1. ストレス
    高齢者になると妻または旦那・友達の死による孤独感、自分の体の衰えに対する不安感や苛立ち、経済的な問題など、さまざまなストレスを抱えます。高齢になると、ストレスに対する対処も衰えてきます。そのため、ストレスが原因で不眠症になってしまう場合があります。
  2. 病気
    病気が原因で不眠症になる場合もあります。
    代表例として精神の病気(うつ病、認知症など)による不眠、皮膚の病気(皮膚掻痒症)による痒み、関節の病気(関節リウマチ、腰痛など)による痛み、循環器の病気(狭心症、心筋梗塞など)による胸苦しさ、泌尿器の病気(前立腺肥大症)によるトイレの回数の増大などがあります。
  3. 薬の副作用
    高齢者になると、さまざまな薬を飲まれている方もいらっしゃいますよね。副作用によって、睡眠に影響が出てしまう薬もあります。

高齢者の不眠症は、若い方と違った原因で発症していまう場合があります。
何が原因なのか見直すことも大事ですね。

薬に頼らない不眠症の対処方法

不眠症は、薬を使って改善する場合もあります。しかし、薬を使わずに対処できる方法もあります。ここでは、薬に頼らない不眠症の対処方法をご紹介します。(5)

  • 1日の行動予定を立てる
    1日の行動予定を立てることで、ベッドで過ごす時間を少なくすることができます。また、毎日の起床時間と就寝時間を一定に保つこともできます。
    ただし、行動予定を立てる時、昼寝はなるべく避けるよう注意して下さい。もし、昼寝を行う場合は、早い時間で30分以内にするようにしましょう。
  • 体操やストレッチを行う
    運動することも、不眠症の対処方法の1つになります。室内でできる体操やストレッチなど、体に負担がかかり過ぎない程度の運動を行うようにしましょう。
  • 外に出る機会を増やす
    体内時計は、日光を浴びることによって調節されています。高齢者になると、外出する回数が減ってしまいます。天気がいい日には、散歩をしたり、日光浴をしたりして、日光に浴びる時間を増やすようにしましょう。
  • 夕方以降の水分摂取を制限する
    夜のトイレの回数を減らすために、夕方以降の水分摂取は制限するようにしましょう。
    カフェインは、眠気を妨げる効果や、尿を出す効果があります。コーヒーや緑茶(玉露)などカフェインが含まれている飲料水は、午後以降控えるようにするのがオススです。
    夏場の熱中症には注意が必要ですし、人によってはこまめな水分摂取が必要な方もいらっしゃいますので、そのように言われている場合は医師や薬剤師にご相談ください。

日常生活を一工夫するだけで、不眠症の対処をすることができますね。

高齢者の睡眠を改善し夜間の介護を減少しましょう

今回の記事では、以下について解説しました。

・不眠症は、1ヶ月以上寝れない状態が続き、日常生活に体調不良が起こること。
・不眠症は、症状によって4種類ある。また、高齢者に多いのは、夜中に目が覚める(中途覚醒)と朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)。
・高齢者の不眠の原因は主に5つある。
・薬に頼らない対処方法がある。

また経験上感じたことですが、行動が制限されている高齢者を一人ぼっちにしてしまうと、できることもなく結果的に昼寝を促すことになってしまいます。それを防ぐためにも、家族や生活を共にする人たちのコミュニケーションの中に入れて、心身のメリハリや刺激を与え、生活のリズムもつけることは大切に思います。
日中一人ぼっちにさせず、できる範囲で周りの人と同じように会話や作業、外出などしてもらい、日中の睡眠時間を過多にしないことで、夜間の睡眠に繋げられるかもしれません。

高齢者の不眠症は、介護現場で夜間ケアの増加に繋がります。
病気や、使用している薬も不眠症の原因になる場合があります。不眠症が改善されない場合は、一度医療サポーターに相談してみて下さい。

【参照】

(1)日本老年医学会雑誌第54巻第3号>老年医学update高齢者の睡眠障害1.高齢者不眠の病態と対応(p325)

(2)e-ヘルスネット>休養・こころの健康>睡眠と健康>不眠症

(3)一般社団法人日本臨床内科医会>わかりやすい病気のはなしシリーズ44不眠症(p4,5)

(4)e-ヘルスネット>休養・こころの健康>睡眠と健康>高齢者の睡眠

(5)高齢者の不眠(p269,270)

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