【薬剤師監修】「お薬の量が多くて困っていませんか?」ポリファーマシーと実例について解説

【薬剤師監修】「お薬の量が多くて困っていませんか?」ポリファーマシーと実例について解説

「薬の量が多くてそれだけでおなかいっぱいになっちゃうわ」
「薬の量が多くて飲みすぎていないか心配になる」

こんなお悩みはありませんか?
介護現場をサポートしている薬剤師は上記のような相談を受けることがあります。

患者さんやご家族と一緒にお悩みの解決ができるように取り組んだ経験とともに、ポリファーマシーについて解説します。

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ポリファーマシーとは

昨今、残薬と関連して注目されている言葉にポリファーマシーという概念があります。ポリファーマシーは、服用するお薬の数が多いことによって、本来のお薬の効果とは異なる効き方をしてしまうことや、間違った服用等の問題につながる状態のことです。

前回の記事で残薬についてお話いたしました。残薬が発生する要因の中でも特に「②飲み忘れや飲む量、回数の間違え」「④自己判断でお薬の飲む回数を減らしてしまう」に関してはポリファーマシーと密接に関係することもあります。

ポリファーマシーの原因

ポリファーマシーは飲むお薬の数が多いことで起きやすいと考えられています。6種類以上飲むことで本来のお薬の効果とは異なる効き方をしてしまう可能性が上がりますが、必要なお薬だけ飲んでいる場合でも6種類を超えてしまうこともあるのでおおまかな目安として知ってもらえたら幸いです。(1)

ポリファーマシーを起こしてしまう原因となる例を3つ紹介します。

①多くの病院を利用している
症状に応じて複数の病院へ受診するという経験はあると思います。1つの病院で2,3種類のお薬を貰った場合でも複数の病院を利用するとお薬の種類は増えてしまいます。多くの病院を利用している場合に、同じ薬がでてしまうこともあります。

②処方カスケードの発生
お薬を飲んでいる時に、副作用が起こることもあります。その副作用を新しい病気として認識し、新しい治療薬を追加し、さらに状態が悪くなってしまう事を処方カスケードといいます。

〜処方カスケードの例〜
・血圧や血糖値の薬+めまいの薬
血圧が下がりすぎた状態や、低血糖状態になるとふらつきが起こることがあります。そのふらつきをめまいと捉えてしまい、めまいの薬が追加になることもあります。

以上の例のような副作用に対して、お薬を追加してさらなる副作用を起こす事例は少なからずあります。お薬の数も増えていくので患者さんの負担にもなりますね。

③お薬手帳の活用ができていない
お薬手帳は持っているけど、忘れることが多くて何のお薬を飲んでいるか把握できていないとおっしゃる方もいらっしゃいます。
お薬手帳にお薬の情報をしっかりと残すことで、同じお薬が出てしまうことを未然に防げますし、それによって安全にお薬を飲むことに繋がります。

お薬手帳を使う前は同じお薬を重ねて飲んでしまっていたというお話も患者さんから聞いたことがあります。安心・安全に適切な量のお薬を飲むためにもお薬手帳は必ず持ちましょう。もしもお持ちでない場合は薬局の窓口で相談して貰い、1冊のお薬手帳を病院や薬局に行った時に使いまわしましょう。(お薬手帳について詳しくはこちらの記事を参照してください。)

ポリファーマシーの対策

なるべく1箇所の薬局に処方箋をまとめて持っていくことで、患者さんの体調変化や治療の変化にも気付きやすく、またお薬の情報を一括管理できるようになります。状況に応じて、一包化、飲む回数、飲むタイミングの変更の提案や、同じ薬が出ていた時には処方医に相談することができます。

(引用:https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/kourei-tekisei_web.pdf p8図2より)

こちらは、同じ薬局で調剤されたくすりの数のグラフです。
複数の病院を利用していると利用する薬局の数が増えてしまう傾向にあり、特に高齢になるほど種類が増えていく傾向にあります。75歳以上では25%の方が7種類以上の薬を1つの薬局から貰っていくというデータがあります。複数の薬局でこれだけの数を貰うと管理が大変になります。

また、お薬手帳の活用も重要です。病院でも薬局でもお薬手帳を見せることでお薬の情報が共有されます。お薬手帳の活用によってどこの病院や薬局を利用しても飲んでいる薬の正しい状況が伝えられるので自分自身を守るためのツールとしての側面もあります。

患者さん側と医療スタッフとの連携の重要性

今回の記事でポリファーマシーについてご紹介しました。ポリファーマシーを防ぐためにはお薬手帳の活用も大切ですが、患者さんや家族の方と医療スタッフの協力が必要です。
薬剤師がご自宅に訪問するサービス(訪問薬剤師)もあるので薬局に相談のうえ、ぜひご活用ください。
ポリファーマシーかもしれない、と気になることがありましたら普段おかかりの病院や薬局のスタッフに相談しましょう。

【参照】
(1)高齢者の 医薬品適正使用の指針

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