【薬剤師監修】介護現場で役立つ目薬の正しい使い方

【薬剤師監修】介護現場で役立つ目薬の正しい使い方

目薬の正しい使い方は皆さんご存じでしょうか?
「目薬はどこに保管したらいいの?」
「目薬が上手く使えないけど、どうしたらいいの?」

そういった質問を受ける場面が介護の現場では多くありました。
今回は、目薬の正しい使い方について薬剤師が解説します。

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目薬の正しい使い方

まずは基本的な目薬の正しい使い方を説明します。(1)

  1. 目薬を使う前に、目薬の名前や、液の状態をしっかり確認しましょう。もし、目薬が変色していたり、異物が入っている場合は、使うのを止めて下さい。
  2. 手をキレイに洗って清潔な状態にします。手にはさまざまな雑菌が付いています。目に雑菌が入ってしまう可能性があるため、目薬を使う前は、手をしっかり洗ってキレイな状態にしましょう。
  3. 下のまぶたを手で引き下げます。顔は上を向くように傾けて下さい。
  4. 目薬をした後は、しばらく目を閉じるようにしましょう。この時、目頭を軽く押さえるようにしましょう。(ただし手術の後は、傷口に触れてしまう場合があるため、目を閉じるだけにしましょう。)

また、目の周りに目薬がついている場合は、ティッシュやガーゼで優しく拭き取って下さい。皮膚に目薬が付いたままだと、皮膚がかぶれてしまう場合があります。

目薬を使う時に注意したい6つのこと

目薬を使う時、注意しなければならない点があるのをご存じでしょうか?
ここでは、目薬を使う時の6つの注意点をご紹介します。

目薬の先端をまつ毛や目に触れないようにする

目薬の先端が目に触れると、目に傷が出来てしまう場合があります。また、目薬の入口から菌が入って、薬を汚染してしまう場合があります。汚染された目薬を使うのは、目にとって良くないですよね。目を守るためにも、目薬の先端をまつ毛や目に触れないように気を付けるようにしましょう。

目薬をした後、目をパチパチしない

目をパチパチしてしまうと、目に入った目薬が流れ落ちてしまうため、十分な効果が得られなくなってしまいます。目薬をさした後、目をパチパチしたくなる気持ちは分かります。しかし、それは間違った使い方なので気を付けるようにしましょう。

1回の点眼量は基本的には1~2滴

目薬は1~2滴で十分な量の薬が入っています。多く入れたほうが効果が出ると思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、たくさん入れても目から溢れ出るため、効果に変わりはありません。目薬は医師からの指示を目安に1~2滴入れるようにしましょう。(例外の目薬もあります。)

2種類以上目薬を使う場合、間隔を開ける

目薬を2種類以上使う場合は、最低でも5分は空けるようにしましょう。目薬の間隔を十分に確保しないと、先に入れた目薬が流れてしまい十分な効果を得られない場合があります。ただし、担当の先生から指示があった場合は、先生の指示に従うようにしましょう。

また、目薬の種類によっては、10分以上間隔を空ける必要のある目薬もあります。(基本的に、10分以上間隔を空ける必要のある目薬は、1番最後に使うように指示されるケースが多いです。)

2種類以上目薬を使う場合、使う順番がある

目薬の中には、水に溶けにくい目薬(懸濁性点眼液)や、目の中でゼリー状になる目薬(ゲル化点眼液)があります。
特殊な性質がある目薬を一緒に使っている場合、
一般的な目薬→水に溶けにくい目薬→ゼリー状になる目薬の順番で使います。

水に溶けにくい目薬

エイゾプト懸濁性点眼液(ブリンゾラミド)、
アゾルガ懸濁性点眼液
(ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩)、
フルメトロン点眼液(フルオロメトロン)など

目の中でゼリー状になる目薬

チモプトールXE点眼液(チモロールマレイン酸塩)、
リズモンTG点眼液(チモロールマレイン酸塩)など


また、目の中に使う軟膏(眼軟膏)を使用する場合は、目薬を使った後に使用するようにしましょう。

よく振ってから使う目薬がある

目薬の中には水に溶けにくい成分を含む目薬があります。その場合は、使う前によく振ってから使用する必要があります。

目薬は種類によって、使い方に注意が必要なものがあります。必ず注意を守って使うようにしましょう。
また、担当の先生に使い方について指示をされている場合は、先生の指示に従って使うようにしましょう。

使う前に振り混ぜる必要がある目薬

エイゾプト懸濁性点眼液(ブリンゾラミド)、
アゾルガ懸濁性点眼液
(ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩)、
フルメトロン点眼液(フルオロメトロン)、
リボスチン点眼液(レボカバスチン)など

目薬が上手く使えないときは

目薬を使っていると、以下のように困った経験はありませんか?

・目薬の先端が目やまつげに付くのを防ぐことができる
・正しい位置に目薬を固定することができるため、1回で点眼することができる

そんな問題を解決するために、「げんこつ法」という目薬の使い方もあります。
「げんこつ法」とは、下まぶたの下にげんこつを置き、目薬を持った手をげんこつの上に置いてしっかりと固定し、その状態で目薬を使う方法です。(1)

さらに「らくらく点眼」と言う点眼補助具があります。
らくらく点眼を使うことで、下記2点の問題を解決することができます。
らくらく点眼は薬局でも購入できることがあります。
もし、目薬が上手く使うことができず悩んでいる方は、お気軽に薬剤師に相談しましょう。

目薬を保管する時に注意したい4つのこと

目薬は使う時だけではなく、保管方法にも注意しなければならないことがあります。
ここでは、目薬を保管する時の4つの注意点を解説します。

基本的には常温で保管する

一般的な目薬は、常温で保管しましょう。常温で保管する時、直射日光に直接当たる場所や、熱くなりやすい場所に保管しないように注意しましょう。
目薬の種類によって、冷蔵庫で保管するものもあります。冷蔵庫で保管して下さいと指示された目薬だけ冷蔵庫で保管するようにしましょう。

また、日光に当たると、薬の成分に変化を起こしてしまう目薬もあります。専用の袋が付いている場合は、専用の袋に入れたまま保管するようにしましょう。

水虫の薬など目薬と間違えやすい薬と一緒に保管しない

薬によって、目薬と見た目が似ている薬があります。目薬と間違えて目に使ってしまった場合、大変なことになってしまいます。そうならないためにも、目薬と見た目が似ている薬は、一緒に保管しないようにしましょう。

開封して1ヶ月以上経っている目薬は捨てる

目薬は一度開封してしまうと、薬の成分の質の低下が始まります。そのため、開封後の目薬は1ヶ月以上使わないようにしましょう。1ヶ月以上経った目薬は、中身を流して捨てるようにしましょう。
目薬の種類によっては1回使い切りの目薬もあります。その場合も、薬がたとえ残っていても捨てるようにしましょう。

湿布と一緒に保管しないようにする

湿布を貼った時に、スースー冷たい感じがする湿布があります。そのような湿布と目薬を一緒に保管すると、目薬の容器を通して、スースーする成分が液の中に入ってしまいます。その状態で目薬を使うと、目薬を使った時、目に刺激感を感じてしまいます。必ず目薬と湿布は一緒に保管しないようにしましょう。

目薬は保管する時にも注意しなければならないことがあります。目を大切にするためにも、保管方法も正しく行うようにしましょう。

目薬を正しく使って目を大事にしましょう

今回の記事では以下について解説しました。

・目薬の正しい使い方
・目薬を上手に使うことができない場合、補助具もある
・目薬を使う時には6つの注意点がある
・目薬を保管する時には4つの注意点がある

目は、私たちの視覚を担っている大切な器官です。目薬を正しく使うことは、目を守ることに繋がります。
目薬が正しく使えているか、正しく保管できているのか、再度確認してみることも大切です。
また、現在使っている目薬に疑問や不安な点がありましたら、お気軽に医療スタッフに相談して下さい。

【参照】
(1)目薬の使い方 社団法人 日本眼科医会 監修

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