【薬剤師監修】夜間頻尿と使用される薬について解説

【薬剤師監修】夜間頻尿と使用される薬について解説

「歳をとってから夜間のトイレの回数が増えた......」
「夜のトイレに行ってから寝付けなくて辛い」

夜間頻尿にお悩みを抱える高齢者は多いように感じます。
介護現場においても、患者さんや家族の方からお悩み相談を受けることもあります。
今回の記事では、介護現場をサポートしている現役薬剤師が、夜間頻尿と使用される薬について解説します。
少しでもお悩みの解消に繋がったら嬉しいです。

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夜間頻尿とお悩みの声について

医療・介護の現場で冒頭に記載のあるようなトイレに関するお悩みの声を多く聞いたことがあります。夜間のトイレの回数やそれが原因になるお悩みについて解説します。

夜間頻尿とは

夜間頻尿とは、夜間に排尿のために1回以上起きなければならない状態のことを指し、年齢を重ねるごとにその頻度は増えるとされています。夜間頻尿の原因としては主に次の4つがあります。

①尿の量が多い
尿の量が多い状態を多尿といいます。多尿は24時間の尿量が40ml/kg体重を超えると定義されています。多尿の原因として水分の過剰摂取や体の水分調節に関わるホルモンの分泌量の低下、心臓の機能低下や薬が原因となり尿の量が増加する等があります。

②膀胱の機能の低下
尿を溜める臓器である膀胱の機能が低下した場合に夜間頻尿に繋がることもあります。主に膀胱の容量が減り尿を溜める機能が下がった場合と、残尿が増え膀胱の容量が減った場合があります。また、両者が関与する場合もあります。

③睡眠に関する悩み(睡眠障害)
不眠と夜間頻尿は相互に関係し、悪循環を及ぼします。夜間に尿意を感じると目覚めてしまうという悩みや、夜間に目覚めた時に尿意を感じてトイレに行くという相関関係があります。不眠があるから夜間頻尿に悩むのか、夜間頻尿があるから不眠に悩むのかは個々によって違いますが、不眠も夜間頻尿も治療することが大切です。

(引用:http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20200527162817-C7663AC8D3BD1607BA2885D44531DBB7EA5250FAB0C5105F9E54CE0B1BC9BB49.pdf p.89)

④他の病気や薬と関連する場合
夜間頻尿と関連性のある主な疾患として高血圧と心臓の病気(心不全、虚血性心疾患)などがあります。飲まれている薬(利尿剤など)の影響によって尿の量が増え、夜間頻尿に繋がることがあります。(1)(2)

お悩みの声の例

過去に相談を受けたケースから夜間頻尿の発見に繋げられた事例を共有します。

①トイレの回数の増加の訴え
「歳をとってから夜中のトイレの回数が増えた」
②トイレに行く頻度と量の変化の訴え
「トイレに行く回数が増えて、1回の量が減った気がする」
③不眠の訴え
「最近、寝付きが悪くて」「トイレに起きてから寝付けない」
④ご家族からの訴え
「夜中にトイレの介助回数が増えた」「父(母)が夜間にトイレに行く回数が増えた」

上記のようなお悩み相談がきっかけで夜間頻尿の治療が開始されたこともあります。あくまでも1例ですが、同じようなお悩みがあるようでしたら、一度医療機関を受診してみましょう。

夜間頻尿の生活面でのケア

生活面で患者さんやご家族に知っておいて欲しいポイントを紹介します。

患者さんに向けてのケア・注意事項

①水分を摂りすぎない
体重の2〜2.5%までの水分制限が多尿でお困りの方に効果があったという報告があります。体重10kgあたり200mL〜250mLが推奨量であり、体重が50kgの方は1Lから1.25Lになります。

②塩分を摂りすぎない
厚生労働省は減塩基準について、男性は7.5g未満・女性は6.5g未満を1日摂取量としています。塩の代わりにお酢や香辛料を活用するのもおすすめです。(3)

③軽い運動をする
散歩や体操など日常に軽い運動を取り入れることも大切です。運動をすることで体内の循環を良くします。

ご家族に向けてのケア・注意事項

①食事の管理
上記にも記載したように水分や塩分摂取量について注意が必要です。特に家族間で共通の食事メニューになる時は注意してください。塩分量や水分量に着目して調整されると良いでしょう。また、アルコールやコーヒーの摂取はトイレが近くなることにも繋がります。

②身体の管理
日常の運動が難しい方もいらっしゃると思います。そんな方にはストレッチやマッサージはおすすめです。また弾性ストッキングを履いて浮腫対策をとっている方もいます。

③温度管理
寒くなるとトイレが近くなる経験はあると思います。ベッド周りの暖房環境を整えてみるのもおすすめです。

夜間頻尿に用いられる薬

夜間頻尿に対する概要やケア方法について理解していただけたでしょうか?今回はよく使われる薬の一例とそれぞれの特徴についてみていきましょう。どちらの薬も夜間のトイレ回数を減らし、睡眠の質を改善させる効果が期待されています。

膀胱の収縮を抑える薬

例)ポラキス(成分名:オキシブチニン)、ウリトス(成分名:イミダフェナシン) など

特徴:①眠気を感じることがあります。ふらつきや転倒に注意しましょう。②緑内障や消化管の働きが低下している方はお薬との相性が悪い可能性があるので必ず相談しましょう。③喉が渇くことがあります。喉の乾きから水分を多く摂ってしまうことにも繋がりので気になるようでしたら薬剤師に相談してください。(4)

膀胱を緩ませ、尿を溜める機能を高める薬

例)ベタ二ス(成分名:ミラベグロン)、べオーバ(成分名:ビベグロン)

特徴:①ベタニスは心臓の病気がある人には使えない。②特にべオーバは副作用の頻度や使用不可な組み合わせが少ないので使用されることも多いです。(5)(6)

まとめ

今回の記事を通して夜間頻尿についてご理解いただけたでしょうか?
加齢とともに発症する可能性が上がり、多くの方が悩まれていると思います。生活面や薬でのケアでそのお悩みを軽減することができます。気になることがありましたら、お近くの薬局の薬剤師に相談してみましょう。

【参照】

(1)夜間頻尿 診療ガイドライン
(2)高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(3)栄養・食生活と高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(4)ウリトス添付文書

(5)ベタニス添付文書

(6)べオーバ添付文書

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