【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい高齢者が市販薬を安全に使用するための注意点

【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい高齢者が市販薬を安全に使用するための注意点

誰でも気軽に購入することができる市販薬は、介護現場でも使われているのではないでしょうか。
気軽に使うことができる市販薬ですが、高齢者に使う場合、いくつか注意しなければならないことがあります。

今回は、介護現場で知っておきたい高齢者が市販薬を安全に使用するための注意点を解説します。

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市販薬とは

市販薬とは、処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で購入することができる薬です。「OTC医薬品」、「大衆薬」とも呼ばれています。
市販薬に使われている成分には、以前は処方箋がないと購入することができなかった薬があります。長い間使われていく中で安全に使用できることが認められ、市販薬として販売できるようになりました。(1)

市販薬の分類

市販薬は大きく分けると、「要指導医薬品」「一般用医薬品」の2種類に分かれます。

要指導医薬品

市販薬として販売できるようになってから期間が短いため、より注意が必要な薬です。
市販薬を買いに行った時、「薬剤師がいないため販売することができません」「薬剤師をお呼びするので、お時間をいただけますか」と対応された経験はありませんか?
実は、要指導医薬品は購入する際、薬剤師が直接対応し薬剤師から説明を受けることが義務づけられているため、薬剤師が店舗にいない場合は購入することができないという規則があります。

要指導医薬品の例(2022年2月時点)としては、ヒアレインS、フルナーゼ点鼻液、タリオンRなどがあります。(2)(3)

一般用医薬品

一般用医薬品は、細かく分けると「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」の3種類に分けることができます。「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」について下記の表にまとめました。(4)

分類

対応する人

商品例

第一類医薬品

一般用医薬品の中でも安全性に最も注意が必要とされている医薬品。

薬剤師

ロキソニンSプレミアム、ガスター10、アラセナSクリームなど

第二類医薬品

一般用医薬品の中で、第一類医薬品の次に注意が必要とされている医薬品。

薬剤師または登録販売者

バファリンA、リンデロンVs軟膏、ベンザブロックSなど

第三類医薬品

一般用医薬品の中で、最も安全だとされている成分を使っている医薬品。

薬剤師または登録販売者

ヨクイニンS、イソジンうがい液、アリナミンA、ペラックT錠など

一般用医薬品についても、要指導医薬品と同じように販売時に対応する人が決まっています。

市販薬を販売しているお店によって、薬剤師や登録販売者が対応できる時間が記載されているお店もあるので確認するようにしましょう。

市販薬を購入・使用する時の6つの注意点

気軽に購入・使用することができる市販薬ですが、いくつか注意しなければならないことがあります。
ここでは、市販薬を購入・使用する時の6つの注意点を紹介します。

薬の飲み合わせに注意する

病院でもらう薬と同じように、市販薬も、薬の飲み合わせによって体に悪い影響が出たり、薬の効果に影響が出る場合があります。
高齢者の方は、たくさんの薬を飲んでいる方が多いため、注意せずに市販薬を購入すると、今飲んでいる薬と飲み合わせが悪い場合があります。

健康食品やサプリメントとの飲み合わせに注意する

市販薬も、薬だけではなく健康食品やサプリメントとの飲み合わせが悪い場合もあります。
高齢者の方は、健康に気を遣われている方も多いですよね。そのため、普段から健康食品やサプリメントを摂っている方もいらっしゃいます。普段から飲まれている薬だけではなく、健康食品やサプリメントにも注意が必要です。

治療中の病気や持病に注意する

高齢者の方は、治療中の病気や持病を持っている方がいらっしゃいます。
実は市販薬にも、治療中の病気や持病によって使うことができない薬があります。
もし合わない薬を使ってしまうと、治療中の病気や持病が悪化してしまう可能性があります。

体に合わなかった薬に注意する

市販薬には1つの成分が入っているものもあれば、複数の成分が入っている薬もあります。
体に合わなかった薬がある方も、市販薬を購入する時には注意が必要です。

使う量に注意する

高齢者の方は、一般的に腎臓、肝臓など体の機能が低下しているため、成人に比べて薬の効果や副作用が強く出すぎることがあります。そのため、高齢者の方は、成人と市販薬の使う量が違う場合があります。
薬を購入する時、薬剤師や登録販売者から説明された量を守るようにしましょう。
また、市販薬には、薬の説明書きが必ず付いています。薬を使う前に、薬の説明書もしっかりと読むようにしましょう。

気になる症状が出た場合は、まずかかりつけの医師に相談する

複数の薬を飲んでいる場合、薬の副作用によって体調が悪くなっている場合もあります。
その場合、市販薬によって薬の副作用が隠されてしまうかもしれません。
気になる症状が出た場合、まずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
気軽に購入・使用することができる市販薬も、注意しなければならない事がたくさんあります。
使い方を間違えたり、飲み合わせが悪かったりすると、体調に影響が出たり、薬の効果に影響が出たりします。

市販薬を購入・使用する時は、まず薬剤師や登録販売者に相談するようにしましょう。
また、勝手な判断で薬の量を変えたり、本人以外の薬を使ったりすることは止めて下さい。

市販薬も安全に正しく使うことが大事

今回の記事では、以下について解説しました。

  • 市販薬とは、処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で購入することができる薬
  • 市販薬には、「要指導医薬品」「一般用医薬品」の2種類あり、一般用医薬品はさらに「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」の3種類に分かれる
  • 市販薬を購入・使用する時には6つの注意点がある

市販薬は気軽に購入・使用できるため、薬の効果を感じない場合勝手な判断で使う量を変えたり、他の人の薬を使うなど、誤った使い方をする方もいらっしゃいます。
しかし、市販薬も薬です。副作用が出たり、場合によっては後遺症が残ってしまったという報告もあります。
市販薬だからといって軽視せず、安全に正しく使うようにしましょう。

【参照】

(1)独立行政法人医薬品医療機器総合機構>安全対策業務患者・一般の方からの相談窓口不当後くすり相談窓口>くすりQ&A>知っておきたい薬のはなし

(2)要指導医薬品の指定等について

(3)厚生労働省>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>医薬品・医療機器>医薬品の販売制度>要指導医薬品一覧

(4)日本OTC医薬品教会>知っていますか?>OTC医薬品の販売方法について

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