【薬剤師監修】高齢者、介護者が知っておくべき花粉症の知識

【薬剤師監修】高齢者、介護者が知っておくべき花粉症の知識

「最近、目がかゆい。」
「鼻をかむ回数が増えました。花粉症ですか?」

毎年、2月後半ごろから花粉症に悩みだす人が増えだします。
メディアや日常会話でも耳にする時期になりました。
今回の記事では改めて花粉症について知り、花粉症に関するお悩みを少しでも減らすことができれば幸いです。

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花粉症とは

花粉症ってなに?

花粉症の正体は、花粉に対して人体が起こすアレルギー反応になります。
人体の持つ免疫反応が、花粉に過剰に反応することによって鼻水やくしゃみ、涙が出ます。
一般的には免疫反応は体にとって良い反応ですが、花粉症のような過剰反応になることで、生活に支障がでてしまうこともあります。(1)

花粉症を発症するまでの期間は?

花粉が体内に入ってからすぐに花粉症になるわけではありません。
個人差はありますが、数年から数十年の期間を経て、何かのきっかけから花粉症を発症することもあります。70歳代になって花粉症の薬を初めて使うことになったという方もいました。(1)

花粉症のシーズンはいつ?

花粉症=3月というイメージが強いと思います。
スギ花粉は2月〜4月、ヒノキ花粉は3月〜4月に飛散量が多いので春に花粉症になるイメージを強く持たれがちですが、実はほぼ1年中なにかしらの花粉が飛んでいます。

花粉症対策について

花粉症の症状は目、鼻、喉、皮膚などに現れます。
薬だけではなく日常生活で行うことができる対策もあります。

①マスクの活用

コロナ禍になってからマスクを着用する機会が増えて、日常生活の必需品になっているマスクも花粉症対策としても使用できます。
マスクの着用によって吸い込む花粉の量を3分の1から6分の1にまで減らすことができると言われています。(2)

・マスクの裏表の間違いがないか
・鼻や顎がでていないか

この2点については注意が必要です。
動画でも確認できますので一度見てみてはいかがでしょうか。(正しいマスクのつけ方

②花粉症に用いられる薬

花粉症に用いられる薬は何種類もあります。あくまでも一例になりますが、薬のタイプごとに名称や特徴を紹介します。(3)

飲み薬

フェキソフェナジン塩酸塩(商品名:アレグラ)
レボセチリジン塩酸塩(商品名:ザイザル)
ビラスチン(商品名:ビラノア)
デスロラタジン(商品名:デザレックス)等

抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬です。
比較的眠気を感じにくいものが使用される事が多いです。(4)
アレグラの名称でしたら耳馴染みがあるかもしれませんが、フェキソフェナジンは市販薬でも販売されています。

目薬

エピナスチン塩酸塩点眼液(商品名:アレジオン点眼液)
オロパタジン塩酸塩点眼液(商品名:パタノール点眼液) 等

目のかゆみ症状に対して使用されます。
目薬で注意していただきたいことは「ソフトコンタクトレンズ装着中の目薬の使用可否」です。

(引用:https://medical.kyowakirin.co.jp/site/drugpdf/tenpupdf/ptn.pdf)

上記はパタノール点眼の添付文書に記載のある内容です。このようにソフトコンタクトレンズ装着中の目薬使用を避けるように定められていることが多い中、アレジオン点眼液はこのような記載がないためソフトコンタクトレンズ装着中でも使用することができるとされています。

点鼻薬

フルチカゾンフランカルボン酸エステル(商品名:アラミスト点鼻薬)
モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(商品名:ナゾネックス点鼻液)
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(商品名:リノコートパウダースプレー鼻用)※ 等
 ※現在販売終了 販売中のジェネリックとして「ベクロメタゾン鼻用パウダー」があります。

ステロイドと呼ばれる成分が入っています。
直接、鼻の中に噴霧して鼻症状を抑える目的で使われます。アラミスト、ナゾネックスは霧状のタイプですが、リノコートは粉末タイプです。

貼り薬

エメダスチン(商品名:アレサガテープ)

貼り薬タイプの薬もあります。 24時間毎に張り替えるタイプになるので、従来の飲み薬をうっかり飲み忘れてしまう方でも貼り薬にすることでうっかり忘れを防ぐことができます。ただし、眠気を感じやすい方もいるので注意してください。

高齢者や介護者が気をつけること

先程、薬について実例をいくつか上げました。薬の使用に関しての注意事項等について実際に服用する方やご家族に向けて知っておいて頂きたい内容についてお伝えします。

①お薬手帳の活用で同じような薬が被っていないかをチェックする。

上記にある、フェキソフェナジンやレボセチリジン等の抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)と呼ばれる薬は、蕁麻疹等の皮膚症状にも用いられることがあります。
皮膚科に痒みで受診されている場合は同じような薬が出てしまうことがあるので、お薬手帳を医師や薬剤師に見せて被りがないかチェックしてもらうことをおすすめします。
飲み合わせや副作用の対策にも一役買うこともあります。

②ふらつきに注意

花粉症の薬を飲むと眠気を感じることがあります。その眠気によって足元がふらつき、転倒してしまったという事例もあります。もともと足が弱い方や同じような薬や他に眠気を感じることがある薬を飲んでいる場合は特に注意が必要です。①に記載のあるようにお薬手帳のチェックをしつつ、ご家族の方の見守りもして頂けると尚良いとされています。

③口の渇き・便秘に注意

花粉症の薬の副作用で他に口の渇きがあります。口腔ケア用のスプレーやジェルで口の乾きの対策をする場合もあります。口の乾きは水分不足によるものか薬の影響によるものかの判断は難しいと思いますので、必ず医師や薬剤師に相談してください。

便秘にも同様に注意が必要です。口の渇きや便秘を引き起こす可能性のある薬は花粉症の薬以外にもあるので、お薬手帳の活用をしていただきつつ、医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。

④市販薬を買う・使用する時の注意点

花粉症の薬は市販薬でも買うことができます。
アレグラやアレジオンという商品名をCM等で耳にしたこともあると思います。
既におかかりの病院からアレルギーの薬が出ている場合や他の病気の薬が出ている時は、同じ薬が被っている場合や飲み合わせが悪い場合もあります。市販薬の購入時にも注意が必要です。処方された薬を1つでも飲んでいる場合は薬剤師に相談してください。

まとめ

花粉症は老若男女の悩みでもあります。
花粉症かもしれないとお悩みの際には医療機関や薬局のスタッフに相談していただけたらと思います。

【参照】
1:花粉症環境保健 マニュアル 2019
2:平成22年度花粉症対策|厚生労働省

3:鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版準拠

4:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療 総 説

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