「認知症にはどんな薬があるの?」
「認知症の薬で副作用が心配...」
介護現場で認知症と診断されたとき、具体的な治療方法について何もわからないと、不安になってしまいますよね。
認知症の薬や副作用について、あらかじめ情報を手に入れて、準備することはとても大切です。
今回の記事では、介護現場をサポートしている現役薬剤師の筆者が、下記の3点を中心に解説します。
- 認知症の薬にはどんな種類があるか
- 認知症の薬はどのように使い分けされているか
- 介護現場で注意してほしい副作用
アルツハイマー型認知症の薬について、家族や介護職員の方に向けて、詳しくご説明していきます!
認知症の薬にはどんな種類があるか
認知症は、いろいろな原因で脳の細胞の働きが悪くなることで起こります。
認知症の薬は、脳の働きが悪くなってしまう原因をおさえる薬です。
現在薬は2種類でており、「コリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗薬」という名前になります。
アルツハイマー型認知症の薬について、より詳しく知りたいかたはこちら
内服薬
認知症の薬はのみぐすり(内服薬)が中心です。
どの内服薬も、用法が1日1回または1日2回と1日の飲む回数が少なめです。
飲む回数が少なくなると、負担が軽くなるので助かりますね。
普通の錠剤だけでなく、口の中で溶ける錠剤をはじめゼリーや粉薬、液体もあります。本人や認知症の状態にあわせて選べるのが良いですよね。錠剤が飲みにくそうだと感じたら、ゼリーや粉薬などへの変更を医療サポーターに相談してみましょう。
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外用薬
認知症の薬には、貼り薬もあります。
成分は、コリンエステラーゼ阻害薬の中のひとつである「リバスチグミン」です。
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貼り薬のメリット
- 皮膚からゆっくり吸収され、効果が持続する
- 内服薬が苦手でなかなか飲めない、内服薬を嫌がったり拒む方にも使える
- 貼ってあることを、目で見て確認ができる
「なかなか薬を飲んでくれない」という方に、1日1回の貼り薬という選択肢が増えることは嬉しいですよね。
認知症の薬を使い分ける
4種類の認知症の薬は、どのように使い分けられているのでしょうか?
各成分が、アルツハイマー型認知症のどの段階で使われるのか表にまとめました。
飲んでいる薬から、医師がどの段階の認知症と診断しているかが把握できます。
認知症の状態を知った上で、本人のケアについて定期的に話し合うのもおすすめです。
介護現場で注意してほしい副作用
- 服用して数週間は下痢や吐き気などが出やすい(その後、落ち着くことが多い)
- 不整脈がでることがある
- めまいや眠気がでることがある
不整脈でも、めまいや立ちくらみが起こる場合があります。歩行介助などの際は、転倒しないよう注意が必要ですね。
リバスチグミンの貼り薬は、貼った場所の皮膚にかぶれがないか確認しましょう。毎日貼る場所をずらすことで、かぶれ予防ができますよ。
認知症の薬は「進行をおさえる」ために継続する
今回の記事では以下について解説しました。
- 認知症の薬は、コリンエステラーゼ阻害薬3成分とNMDA受容体拮抗薬1成分
- 内服薬には錠剤、ゼリー、液体などの剤形があり、外用薬として貼り薬も
- 軽度、中等度、高度認知症の段階にあわせて使う薬が決められている
- 服用初期は、下痢や吐き気などが出やすい
- めまいや眠気が出ることがあるので、転倒によるケガに注意
紹介した認知症の薬は、残念ながら認知症を治す働きはありません。
あくまで認知症の進行のスピードをゆるやかにして、進行をおさえる薬です。
認知症の場合は、「症状が変わらない」ことが薬の効果が出ていることになります。
その効果を出すためには、毎日薬を続けることが重要ですよね。
認知症の薬を毎日続けるためには、家族や介護職員の方の協力が不可欠です。
薬について困ったこと、不安な点があれば、医療サポーターに相談してくださいね。
ぜひ一緒に認知症の治療に取り組み、より良いケアにつなげて頂ければ幸いです。