【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい湿布を使う時の注意点 はがれにくさを解決する工夫も解説

【薬剤師監修】介護現場で知っておきたい湿布を使う時の注意点 はがれにくさを解決する工夫も解説

筋肉痛や肩こりで湿布を使ったことがありますよね。
湿布は貼るだけだから、特に注意することはないと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、湿布も薬です。正しく使うことで、しっかりとした効果を感じることができたり、副作用のリスクを減らしたりすることができます。
今回は、湿布の種類、使う時の注意点、はがれにくさを解決する工夫について解説します。

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湿布とは

湿布とは、外用薬のひとつで、鎮痛成分を含み、痛みがある箇所に貼ることが一般的です。湿布は、筋肉痛、肩こり、関節痛、打撲などの症状に使われます。

湿布の種類

湿布は大きく分けると2種類あります。(1)

パップ剤

水分を含んだジェル状の素材を布に伸ばしているもの。皮膚の刺激感や、粘着力が少ないため、皮膚への負担は少なくなります。

パップ剤には、貼った時に冷たく感じる冷感タイプと、温かく感じる温感タイプがあります。

テープ剤

成分を布やプラスチック製のフィルムに伸ばしているもの。パップ剤と違い水分を含んでいません。

粘着力が強いため、関節など剝がれやすい部分に使うのに適しています。しかし、皮膚への負担が多くなるため、パップ剤に比べてかぶれやすい傾向があります。

湿布を使う時に注意したい6つのこと

湿布を使う時には、6つ注意することがあります。

皮膚が清潔な状態で貼る

湿布を貼る時は、皮膚を清潔にした状態で使うようにしましょう。
皮膚の脂がしっかりと落ちている状態で湿布を貼ると、はがれにくくなり、かぶれなど副作用のリスクも減らすことができます。
入浴後、しっかり水分や汗を拭きとってから貼るのがおすすめです。血行も良くなっているので、湿布の効果が発揮されやすいです。ただし、入浴してから30分以上経ってから貼るようにしましょう。(2)

傷がある場所には貼らない

傷口がある場所に湿布を貼ると、ヒリヒリと刺激感を感じてしまいます。もし傷がある場所にどうしても湿布を貼りたい場合は、ガーゼなどで傷をしっかりと保護した上に貼るようにしましょう。

貼った場所に日光を当ててはいけない湿布がある

「ケトプロフェン」という成分が入っている湿布を使う場合は、薬を貼った場所に日光を当てないようにしましょう。日光を当ててしまうと、火傷をしたように皮膚が赤く腫れたり、痒みが出たり、水ぶくれが出る場合(光線過敏症)があります。このような症状がでた場合、使うのを中止し、病院に受診するようにしましょう。
また、湿布をはがした後も、皮膚には成分が残っています。最低でも4週間は、貼った場所に日光を当てないようにしましょう。
「ケトプロフェン」が含まれている湿布には、モーラステープ、パテルテープ、オムニードケトプロフェンパップなどさまざまあります。(3)
今使っている湿布は、日光に気を付けなければならないのか不安や疑問を感じた方は、気軽に薬剤師に相談しましょう。

同じ場所に貼らないようにする

毎日湿布を使う場合、同じ場所に貼ると皮膚がかぶれやすくなってしまいます。皮膚がかぶれてしまうリスクを減らすために、貼る場所をずらしながら使うようにしましょう。
湿布だとかぶれやすい場合には、塗り薬タイプに変更することもできます。お気軽に担当の医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

はがす時はゆっくり

湿布をはがす時は、ゆっくりはがすことが大切です。一気にはがしてしまうと、皮膚に負担がかかってしまいます。高齢者は皮膚が弱いので、特に気を付けるようにしましょう。
はがれにくい場合は、湿布に水やぬるま湯をかけたり、濡れたタオルを使うようにするのがおすすめです。

飲み合わせに注意が必要な湿布がある

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)は1日2枚貼ると、痛み止めの薬を口から飲んだ時と同じ程度吸収されます。そのため、飲み合わせが良くない薬が何種類かあります。安全に薬を使うために、担当の医師・薬剤師には、他に飲んでいる薬を伝えるようにしましょう。その際は、お薬手帳を使うと便利です。(4)
湿布も使う時には、注意しなければならないことがあります。
湿布の使い方で気になることがある場合は、お気軽に薬剤師に相談するようにしましょう。

一工夫することで剝がれにくさを解決できる

湿布を使っていて、はがれやすくて困るなと思ったことはありませんか?
筆者も薬剤師として働いていた頃、そのような相談を受けたことがありました。
ここでは、湿布をはがれにくくする工夫を紹介します。(2)

包帯などで固定する

湿布を包帯や、テープなどで固定すると、湿布をはがれにくくすることができます。
固定するための包帯やテープは、薬局でも購入することができます。もし、湿布がはがれやすくて悩んでいる方は、お気軽に薬剤師に相談しましょう。

ハサミで湿布に切り込みを入れる

関節部分に貼る時は、湿布に切り込みを入れることで、湿布をはがれにくくすることができます。

(引用:公益社団法人静岡県薬剤師会 湿布の上手な貼り方ーカットすれば、はがれにくい 一人で貼れる補助器具も)

ただし、体に貼る薬の中には、ハサミなどで切って使うことができない薬があります。(5)
薬を切って使う場合は、切っても大丈夫なのか必ず確認をしてから使うようにしましょう。

湿布も薬の一種!正しく使うことが大事!  

今回の記事では、以下について解説しました。

・湿布にはテープ剤とパップ剤の2種類がある
・湿布を使う時には6つの注意点がある
・工夫することで湿布をはがれにくくすることができる

湿布は、貼るだけなので、誰でも気軽に使うことができる薬です。
そのため、使い方が適当になってしまいがちです。
今回の記事をきっかけに、湿布の使い方を見直すきっかけになれば幸いです。

【参照】

(1)第十八改正日本薬局方
(2)公益社団法人静岡県薬剤師会>おくすり相談>くすりの相談室>湿布の上手な張り方—カットすれば、はがれにくい 一人で張れる補助器具も
(3)ケトプロフェン外用剤による光線過敏症に係る安全対策について
(4)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構>医療用医薬品の添付文章情報>ロコアテープ
(5)張り薬の半分投与ーどうしますか?ー
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