冬の到来と共に肌が「痒い」と感じることはありませんか?
秋ごろから冬に差し掛かるにつれて皮膚の痒みに関する相談は増えてきます。
そして、冬場から春先まで痒みで悩む方は多くいらっしゃいます。
「痒い部位を掻き、傷ができ、化膿することで状態が悪化してしまった。」ということもよくあります。
今回の記事では、冬場の皮膚の痒みとその対策、保湿方法についての情報をご紹介します。
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痒みについて
「痒い」という状態は辛いですよね。痒みのせいで集中力が落ちてしまうことや掻きむしってしまい状態が悪化してしまう等、日常生活に支障が出ることもあります。痒みがどのように起こるのか、実は痒みを悪化させてしまっている行動について解説します。
痒みのメカニズム
皮膚炎が起きると、皮膚の細胞からさまざまな物質が分泌されます。その分泌物が神経組織に結合することで痒みを感じます。痒みを引き起こす物質としてはヒスタミンが代表的です。
また、皮膚炎の悪化により皮膚のバリア機能が低下すると、痒みの原因になるアレルゲンが入りやすくなったり、痒みに対する反応が敏感になり、痒みが酷くなることもあります。(1)
掻いてしまうと皮膚の細胞から痒みを起こす物質や炎症を促す物質が分泌されるため、状態が悪くなってしまうことが多くあります。
冬場の皮膚の痒みの要因となる乾燥について
冬場は1年の中で皮膚のトラブルで悩みが尽きない時期になります。冬場の皮膚トラブルで重要な乾燥について解説します。
乾燥
夏場に比べて冬場は湿度が低く、肌が乾燥しやすい季節です。湿度と肌の水分量については正の相関関係があるというデータがあります。保育園と幼稚園それぞれでデータを取ったところ、湿度の低い環境にいることで皮膚が乾燥したと推察されています。
皮膚に存在する神経が刺激されると痒みを感じるとされています。特に皮膚が乾燥している状態は外部刺激を感じやすく、痒みの閾値も下がるので痒みを感じ、掻くことでさらに痒みを感じて掻いてしまうという悪循環に陥りやすいとされています。(2)
老人性乾皮症
加齢が進むことで皮膚の乾燥が進行します。これは皮脂の分泌の減少や水分保持機能の低下が原因です。肌にザラザラ感や細かい鱗屑のようなものが見られたら皮膚の乾燥があると考えられます。いくつか対策はありますが、共通して保湿をする必要があると言われています。(3)
痒みの対策
乾燥対策として具体的にどのようなことをすればよいか解説します。
環境
室内では加湿器などを利用し、室内の湿度を上げるようにしましょう。
また、痒み症状が発現し、掻くと悪化してしまいます。そこで、掻いても害が少なくなるような状態にしましょう。
・掻いてしまった時に傷つけないように爪を短く切っておく。
・引っかきやすいところに包帯やネットを巻く。
・皮膚を刺激しやすいウールやチクチクする素材は避ける。
・手の場合は手袋を就寝時に着用する。
などがおすすめです。(1)
保湿剤
皮膚の乾燥に対するスキンケアは肌の表面の保湿が重要になるため、保湿性の高いヘパリン類似物質含有製剤や尿素製剤を使用します。また、皮膚のバリア機能を補強するために白色ワセリンや亜鉛華軟膏が使用されます。(4)
また、使用量については下の画像を参考にしてください。大人の人差し指の先端から第一関節までの長さをチューブで押し出した量が大人の手の平の2枚分の面積に塗る量とされています。
(引用:https://www.kyudai-derm.org/kayumi/print/pdf/all.pdf p26)
飲み薬(抗ヒスタミン薬)
痒みの症状は市販の飲み薬でも対応ができます。抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬を塗り薬の補助として飲むことで症状の緩和を目指すという考え方で使用されています。
抗ヒスタミン薬の分類
抗ヒスタミンは第1世代と第2世代に分類されます。
第1世代は脳内へ薬の成分が移行しやすく、鎮静作用が強いとされていますが、その分口の乾き等の副作用を感じる頻度も高いとされています。次に、一例として市販薬に含まれる成分を紹介します。
・成分名:ジフェンヒドラミン
第1世代抗ヒスタミン薬です。市販の飲み薬では5歳から飲めるものもあり、幅広い年代に使用することができます。個人差はありますが、眠気を感じることもあります。
・成分名:メキタジン
第2世代の抗ヒスタミン薬です。第2世代は脳内へ移行しにくく、口の乾き等の副作用を感じる頻度を第1世代よりも下げるとされており、眠気も比較的感じにくいとされています。痒みの症状に対して使用されることが多いです。
・成分名:アゼラスチン
第2世代の抗ヒスタミン薬です。痒みの症状と腫れの症状がある場合に使用されることが多いです。こちらも眠気を感じにくいように設計された薬です。(4)(5)
まとめ
今回の記事では冬場の痒みやその対策について解説しました。季節柄、痒みを感じやすい時期ですので早めの対応が望ましいです。受診が必要になる場合もありますが、日常のケアは?薬局やドラッグストアの薬剤師に相談することで解決することもあります。お悩みになる前に気軽に相談してください。
【参照】
2:皮膚の乾燥・かゆみのメカニズムと室内湿度 Relationship between indoor humidity and the mechanism of dryness a