【薬剤師監修】湿布薬の適正使用と胃痛について

【薬剤師監修】湿布薬の適正使用と胃痛について

「胃が痛いと感じるが原因が分からない」
原因の不明な胃の不調にお悩みの経験はありませんか?その要因に湿布薬の使用が関係していることもあります。

今回の記事では、医療・介護現場をサポートしている現役薬剤師が、以下を中心に解説します。
・湿布薬の適正使用について
・湿布薬による胃痛について

ご本人だけではなく、ご家族や介護者の方に、適切な湿布薬の使用と副作用について知っていただけたら嬉しいです。

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湿布薬の適正使用について

湿布薬の貼り方や「1日に何枚までなら貼っても大丈夫?」という疑問をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか?既にご存知の方もそうでない方も改めて確認する機会になれば幸いです。

湿布薬の貼り方

包帯やテープで固定する方法や、切り込みを入れて貼りやすくする方法があります。貼り方の工夫の詳細はこちらからご確認ください。

副作用の種類

湿布薬を使用した方の半数以上が何かしらの副作用を経験しています。副作用として頻度が高い3つの事例についてお伝えします。(1)

①かぶれ・かゆみ
副作用の訴えのうちの8割をかぶれ・かゆみの症状が占めます。皮膚を清潔にした状態での貼り替えや、湿布薬を少し早めに剥がして肌への刺激を緩和する方法を取り入れている患者さんは多いです。こちらに補足事項がありますので参考になれば幸いです。

②光線過敏症
湿布薬の中には貼った部位が直射日光に当たると火傷した状態のように皮膚が赤く腫れたり、水ぶくれが出ることがあります。このような症状が出た場合は使用を速やかに中止し、病院を受診してください。
「ケトプロフェン」と「ジクロフェナク」という成分を含む湿布薬に注意して下さい。商品名としてはモーラステープ・パップ、ミルタックスパップ、ボルタレンテープがあります。(2)

③胃の痛み
一部の痛み止めには頻度としては低いですが、副作用として胃の痛みが発現するものがあります。特に4枚以上の使用になると使用枚数に比例して発生する可能性が上がるとされています。この理由として、貼り薬とはいえ、たくさん貼ると錠剤で飲む量と同じやそれ以上になってしまうことがあるからです。湿布薬を1日に複数枚使用する場合、特に胃が弱い方は処方医にあらかじめ相談しましょう。(3)

湿布薬で胃潰瘍が起きた事例について

上記で、湿布薬の副作用として胃の痛みについて記載しました。実際に湿布薬を中断することで胃の痛みが解消された事例がありますのでご紹介します。(3)

背景
・2年にわたって胃潰瘍に悩んでいた方が湿布薬の使用を中止したら胃潰瘍の症状が治癒した。
・モーラステープを1日4〜6枚使用していた。

この事例から湿布薬の中止により胃の症状が治癒し、湿布薬が胃潰瘍を引き起こす原因となっていた可能性があります。湿布薬を安心・安全に使うためにも気になる痛みの経過だけではなく、副作用の発現についても意識し、医師や薬剤師に相談しつつ使用するようにしましょう。

湿布の枚数制限について

2022年4月から湿布薬の枚数制限が63枚までに変更になりました。体の状態によっては複数箇所に湿布薬を使う場合もあると思います。湿布薬の使用枚数や回数については主治医に確認しておきましょう。

まとめ

今回の記事を通して湿布薬の適正使用についてお伝えさせていただきました。安心・安全に湿布薬を使っていただけるように理解を深めて頂ければ幸いです。

【参照】
1:NSAIDs 貼付剤の処方に対する患者意識と 自宅残薬の取り扱い実態
2:ケトプロフェン外用剤による光線 過敏症に係る安全対策について

3:NSAIDs 経皮製剤(湿布)が原因と考えられた 胃潰瘍の 1 例

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