【薬剤師監修】介護現場で役立つステロイドの塗り薬の種類や注意点について

【薬剤師監修】介護現場で役立つステロイドの塗り薬の種類や注意点について

皮膚に痒みが出たり、赤くなったりした時、ステロイドが入っている塗り薬を使ったことがあるかもしれません。
また、雑誌やテレビなどのマスコミから、ステロイドについての情報を目にすることもあるのではないでしょうか。
ステロイドについては、様々なイメージをお持ちの方がいらっしゃいます。
ステロイドは正しく使うことで、安全に使うことができる薬です。
今回の記事では、ステロイドの塗り薬に注目して、種類や使う時の注意点について解説します。

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ステロイドとは

ステロイドとは、炎症を抑えたり、体を守る働き(免疫)を抑えたりする薬です。
ステロイドの成分は、私たちの体の中で作られているホルモンをもとにして作られています。
ステロイドは炎症が起きている病気や、体の免疫反応が強く出てしまう病気に使われます。(1)

ステロイド(塗り薬)は種類によって強さが違う

ステロイドの塗り薬は、さまざま種類があり、強さも違います。どのステロイドがどの強さに当てはまるのか、下の表にまとめました。(2)

強さ

成分名

商品名

strongest

クロベタゾールプロピオン酸エステル

デルモベート、コムクロ

ジフロラゾン酢酸エステル

ダイアコート、ジフラール

very strong

ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステ

アンテベート

酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン

パンデル

モメタゾンフランカルボン酸エステル

フルメタ

フルオシノニド

トプシム

ジフルプレドナート

マイザー

アムシノニド

ビスダーム

ジフルコルトロン吉草酸エステル

ネリゾナ、テクスメテン

ベタメタゾンジプロピオン酸エステル

リンデロンDP

strong

デキサメタゾンプロピオン酸エステル

メサデルム

デキサメタゾン吉草酸エステル

ボアラ

ベタメタゾン吉草酸エステル

ベトネベート、リンデロンV

デプロドンプロピオン酸エステル

エクラー

フルオシノロンアセトニド

フルコート

medium

トリアムシノロンアセトニド

レダコート

アルクロメタゾンプロピオン酸エステル

アルメタ

クロベタゾン酪酸エステル

キンダベート

プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

リドメックス

ヒドロコルチゾン酪酸エステル

ロコイド

デキサメタゾン

オイラゾン

week

プレドニゾロン

プレドニゾロン

ステロイドの強さは、強い順にstrongest、very strong、strong、medium、weekの5段階に分けることができます。

ステロイドの塗り薬を使う時の6つの注意点

ステロイドの塗り薬は、効果が高いため幅広く使われていますが、使う時に注意しなければならないことがあります。
ここでは、ステロイドの塗り薬を使う時の6つの注意点を紹介します。

皮膚が清潔な状態で塗る

塗り薬を使う前に、石鹸で手をきれいに洗ってから使うようにしましょう。
また、塗る患部もきれいにしておくと、薬の効果がしっかり出ます。皮膚もきれいな状態なので、お風呂上りに塗るのがおすすめです。

濡れた手で使用しない

濡れた手で塗り薬を使うと、チューブ内に水が入ってしまう場合があります。
チューブ内に水が入ってしまうと、中で細菌が繁殖する原因になってしまいます。
薬が汚染しないために、濡れた手で使うのはやめましょう。また、チューブの口を直接患部に付けることも、細菌が繁殖する原因になるので注意しましょう。

適切な量を塗るようにする

ステロイドの塗り薬の使う量を説明する時、「1FTU」という単位を使います。
1FTU(finger tip unit)とは、成人の人差し指の先から第一関節までチューブから絞りだした量のことを言います。
1本あたり25g入りの塗り薬や、1本あたり50g入りの塗り薬の場合、1FTUで絞り出せる量は約0.5gで、両手の手のひらに塗るのに必要とされている量です。
1本あたり5g入りの塗り薬の場合は、1FTUで絞り出せる量は約0.25gになります。
1FTUの量で塗ると、少し量が多いと感じる方もいるかもしれません。しかし、少し多めに塗る方が、薬の効果がしっかり出るため、病気の治りも早くなります。

しかし、塗り薬によって、使う量に制限があるものもあります。必ず担当の医師の指示に従うようにしましょう。(3)

自分の判断で塗るのを止めない

「症状が良くなってきたから、薬を塗るのを止めてもいいかな」「塗った後ベトベトして気持ち悪いから、塗りたくないな」と思う方もいるかもしれません。
しかし、自分の判断でステロイドの塗り薬を止めてしまうと、症状が悪化してしまう場合があります。
担当の先生に指示された期間は、必ずステロイドの塗り薬を塗り続けるようにしましょう。

指示されていない場所に塗らない

ステロイドの塗り薬は、塗る場所によって薬の吸収率に差があります。
そのため、指示されていない場所に塗ると、症状が悪化したり、副作用が出てしまう場合があります。
担当の先生に指示された場所だけに塗るようにしましょう。(4)

開封後の期限は6~12ヶ月とする

塗り薬に限らず、薬には使用期限が決められています。
パッケージには開封前の使用期限が書いてありますが、開封後は6~12ヶ月を目安に破棄し、それ以降は使わないようにしましょう。
また、その期間内であっても、色に変化があったり、薬の状態に違和感を感じた時は、使わないようにして下さい。
期間を置いて塗り薬を使う場合、チューブ出口の薬は少し捨ててから使うようにしましょう。

ステロイドの塗り薬は、注意点をしっかり守って使うことがとても大切です。
薬のことや、使い方などで疑問を感じた場合は、お気軽に薬剤師に相談しましょう。

ステロイドの塗り薬を保管する時の2つの注意点

ステロイドの塗り薬は、使う時だけではなく保管にも注意することがあります。
保管方法を守らないと、使用期限まで使うことが出来なくなってしまいます。
ここでは、ステロイドの塗り薬を保管する時の2つの注意点を紹介します。

直射日光が当たる場所で保管しない

塗り薬の保管方法として、基本は「室温保存」です。
直射日光が当たる場所は、室温以上の温度になってしまったり、日光による影響を受けてしまう場合があります。
塗り薬を保存する時は、直射日光に当たる場所や、高温になりやすい場所で保管しないようにしましょう。

塗り薬によっては、冷蔵庫で保管する薬もあります。特別な保管方法があるのか気になった時は、お気軽に薬剤師に相談しましょう。

キャップはしっかり締める

チューブのキャップは必ずしっかり締めるようにしましょう。しっかりキャップを締めていないと、チューブの中で細菌が繁殖する原因になってしまいます。
保管方法を守ることは、それほど難しくないですよね。
塗り薬を正しく使うためには、保管方法も守ることが大切です。

ステロイドの塗り薬を正しく使いましょう

今回の記事は、以下について解説しました。

・ステロイドは、炎症や免疫を抑える薬で、私たちの体の中で作られているホルモンをもとにして作られている。
・ステロイドの塗り薬は、5つの強さに分類される。
・ステロイドの塗り薬を使う時には6つの注意点がある。
・塗り薬を保管する時には2つの注意点がある。

ステロイドの塗り薬を正しく使うことは、薬を安全に使うことに繋がります。
症状を早く改善したり、副作用のリスクを減らしたりするためにも、今一度、ステロイドの塗り薬の使い方や保管方法を見直ししましょう。

【参照】
(1)「病院の言葉」を分かりやすくする提案>提案>Ⅲ.類型別の工夫例 提案した語の一覧> 24.ステロイド

(2)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018(P25)

(3)公益社団法人 日本皮膚科学会>一般市民の皆様>皮膚科Q&A>皮膚科領域の薬の使い方>Q3 軟膏やクリームを塗る量はどのくらい?

(4)古江 増隆:専門医のためのアレルギー学講座 5.ステロイド外用薬の使い方:コツと落とし穴(p493)

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