【薬剤師監修】介護現場で用いられる栄養補給剤(半消化態栄養剤)

【薬剤師監修】介護現場で用いられる栄養補給剤(半消化態栄養剤)

食事があまり摂れていない状態の栄養補給剤としてエンシュアが処方されるケースがあります。しかし、必ずしもエンシュアが出るということでは無く、他の栄養剤が処方されることもあります。
今回の記事では、介護現場をサポートしている現役薬剤師が食事で十分に栄養を摂れていない人向けの栄養補給剤の紹介とその特徴について解説します。

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介護現場で用いられる半消化態栄養剤

栄養剤としてエンシュアを飲んでいる方は多いのではないでしょうか?
エンシュア以外にも同様の栄養剤があります。低栄養状態を改善するための栄養剤として医師が処方する栄養剤を分類すると以下の画像のように分類されます。

(引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/28/6/28_1201/_pdf/-char/ja p.2)

エンシュアはこの分類で半消化態栄養剤に分類されます。

半消化態栄養剤とは

経腸栄養剤は窒素源により分類されます。半消化態栄養剤は窒素源としてタンパク質、脂質はデキストリン、脂質は全体の2〜3割で構成されています。半消化態栄養剤は在宅医療などの長期の経腸栄養でよく用いられます。(1)

各栄養剤の特徴

半消化態栄養剤に分類される医薬品は数種類あります。各々について比較してみましょう。

(引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/27/2/27_637/_pdf/-char/ja p.3)

エンシュア

過去にこちらの記事で詳しく紹介しています。 

ラコール

特徴:他の栄養剤より脂質の比率が低めであり、糖質の割合が高めです。

味:ミルク、コーヒー、バナナ、コーン、抹茶

注意事項:
①ワルファリンを飲んでいる場合はお知らせください
ワルファリンの作用が弱くなる可能性があります。ワルファリンを飲んでいる場合は必ず医師か薬剤師に相談してください。

②温度に注意
凍結保存や室温を上回る高温下の保存は避けましょう。また、加熱する場合は70℃以上を避け、未開封のまま湯煎してください。(2)

③アレンジ例
実際に服用している方から伺った話ですが、ゼラチンを用いてプリンにすると美味しく摂取できるとのことです。

エネーボ

特徴:エンュアに含まれていないカルニチン、モリブデン、セレン、クロムなどの微量元素を含みます。粘度はやや高めです。

味:バニラ味

注意事項:
①ワルファリンを飲んでいる場合は教えて下さい
ワルファリンの作用が弱くなる可能性があります。ワルファリンを飲んでいる場合は必ず医師か薬剤師に相談してください。

②温度に注意
凍結保存や室温を上回る高温下の保存は避けること。また、加熱する場合は未開封のまま微温湯(30〜40℃)で行い、直火は避けてください。(3)

③アレンジ
実際に服用している方からは濃いめの紅茶にエネーボを入れてミルクティーにしていると伺いました。栄養剤の匂いも気にならなくなり飲みやすいとのことです。

イノラス

特徴:カロリーは1mlあたり1.6kcalと他の栄養剤と比較し高い数値になります。そのため少量でカロリー補給が可能です。

味:ヨーグルト、いちご、りんご、コーヒー

注意事項:
①ワルファリンを飲んでいる場合は教えて下さい
ワルファリンの作用が弱くなる可能性があります。ワルファリンを飲んでいる場合は必ず医師か薬剤師に相談してください。

②温度に注意
凍結保存や室温を上回る高温下の保存は避けること。また、加熱する場合は70℃以上を避け、未開封のまま湯煎してください。(4)

③アレンジ
内容量187.5mlと他の栄養剤より少量であるのでそのまま飲む方もいますが、アレンジされる際はラコールやエンシュアのようにゼラチンを用いてゼリーにして摂取する方が多いようです。

まとめ

今回の記事では半消化態栄養剤と実際に医療・介護の現場で用いられている栄養剤について解説しました。各栄養剤毎に味や組成等の特徴が異なるので状況に応じて変更がある場合もあります。使用してみて気になることがあったり、使用してみたい場合は医師や薬剤師にお気軽に相談してみてください。

【参照】

1:経腸栄養剤の種類と特徴~病態別経腸栄養剤の種類と特徴~*

2:ラコール添付文書

3:エネーボ添付文書

4:イノラス添付文書

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